「太陽光発電ってなんなの?」
「設置にかかる費用はどのくらい?」
太陽光発電とは、「太陽光発電モジュール」と呼ばれるパネルを使って太陽の光から電気を生み出し、家庭で使えるシステムのことです。
太陽光発電は自然エネルギーから電気を生み出せるため、電力会社から購入する電気を減らして電気代を削減できるという大きなメリットがあります。
この記事では、そんな太陽光発電の仕組みやメリット・デメリットなどを初心者の方にわかりやすく解説します。
基礎知識はもちろん、価格を抑えて設置できる補助金制度についても解説しているため、気になっている人はぜひ参考にしてくださいね。
太陽光発電とは?わかりやすく解説
太陽光発電とは、屋根などに『太陽電池モジュール』という名前のパネルを設置して、その名のとおり太陽の光を電気エネルギーに変換する技術のことです。
太陽光発電を設置していると、通常時だけではなく、停電時にも電気を使えるので停電対策にもなるところが大きなポイントでしょう。
また、発電して余った電気は、電力会社に売ってお金にしたり、自宅で消費して電気代を浮かせたりもできます。
太陽光発電は設置の義務化が進んでいる
2024年現在、東京都、京都府、神奈川県川崎市などが、新築や大規模改修の際に太陽光発電を設置しなければならない制度を導入することを発表しました。
この制度は、温室効果ガスの削減や自然災害対策を目的としており、2025年7月に実施される予定です。
ただし設置義務といっても、カンタンに導入できるものでもないため、政府や各自治体では補助金制度を設置して推進しています。
しかし現状は、環境省によると、政府が補助金制度などを進めていても、太陽光発電はまだ戸建て住宅の6.3%にしか普及していません。
そのため、国や自治体が補助金を出して設置のハードルを下げることで、今後『太陽光発電』の普及が期待されています。
太陽光発電の仕組みを簡単に解説
太陽光発電の『太陽電池モジュール』には、半導体という素材が使われていて、太陽の光が当たるとプラスとマイナスの電気を生み出します。この電気は直流電力と呼ばれています。
しかし、この「直流電力」はそのまま家庭用の電気として使えるわけではないので、ご家庭で使えるようにパワーコンディショナーと呼ばれる変換器へと流されます。
パワーコンディショナーを通すことによって、ご家庭の電化製品で使われている「交流電力」へと変換され、利用できる電気に変わります。
交流電力には様々な利用用途がある
上記のような形で、太陽光から発電された交流電力は、そのままご家庭で消費したり、蓄電池に貯めて災害時に備えたりするなどの方法で活用できます。
また、電気が余ってしまった場合は『FIT制度』と呼ばれている電気の買取制度を活用することで、電力会社へ電気を販売し利益を得ることもできます。
太陽光発電の4つのメリットとは
ここまでで、太陽光発電の仕組みに関してはご理解いただけたと思います。
ただ、「実際に設置することでどんなメリットがあるの?」と疑問に持つ方も多いでしょう。そこでここからは太陽光発電の4つのメリットを詳しく解説していきます。
メリット1.電気代が節約できる
太陽光発電を設置することで、ご家庭の状況によっては「年間約10〜20万円相当」の電気代を減らすことができます。
たとえば、東京都のご自宅に『5kWの太陽光発電』を設置した場合、南向きなどの好条件が揃うと、年間で『約5,304kWh』の発電に期待できます。
これを1ヶ月で換算すると、『約442kWh』となるのですが、これは東京都が目安として挙げている3〜4人家族が消費する1ヶ月の電気代と同じ程度の量なんです。
もし、東京電力を契約している場合、太陽が出ている日中の電気代の『35.96円/kWh』を太陽光発電に切り替えることで年間約19万円相当(1ヶ月で約6,300円)の節約効果に期待できるでしょう。
メリット2.FIT制度により売電収入を得られる
太陽光発電を導入する2つ目のメリットは、自家消費で電気代を抑えられるだけでなく、余った電気を電力会社に売ることができるところです。
これは、FIT制度と呼ばれる国の仕組みによって、固定価格で買い取ってもらえるためです。
もし、東京都の4人暮らしで『5kWhの太陽光発電』を設置している場合は、月間で「1,352円」ほどの売電収入に期待できます。
電気使用量 | 発電量 | 余剰電力 | 売電収入 |
---|---|---|---|
358kWh | 442kWh | 85kWh | 1,352円 |
上記のように、電気代の節約効果だけでなく、年間で『16,224円』の売電収入に期待できるところは、とても大きなメリットだと言えるでしょう。
メリット3.災害などで停電した時に役立つ
太陽光発電は、停電時にも自動的に動いて発電を続けられる「自立運転機能」を備えたシステムであれば、災害時にも電気を利用できます。
さらに、電気を貯められる蓄電池をセットで設置している場合は、昼間に充電をしておけば、夜の停電時にも家電や照明を使えます。
メリット4.地球環境に優しい
太陽光発電システムは、化石燃料を使わず太陽のエネルギーを利用して発電するため、一般的には『環境にやさしいエネルギー』と言われています。
さらに、太陽光発電システムは静かで無臭なので、騒音や臭気などの公害もないことも環境にやさしいと言われている理由のひとつです。
太陽の光は枯渇することがないため、持続可能なエネルギー源として、設置するだけで家庭にも地球にもやさしい発電方法と言えるでしょう。
太陽光パネルを設置する4つのデメリットとは
太陽光発電のメリットを確認してみると、なんだか「導入してもいいかな…」と感じる方も多くいるかと思います。
でもちょっと待ってください!太陽光パネルにも見逃してはいけないデメリットがあるので、確認しておきましょう。
デメリット1.設置費用が高い
太陽光パネルは一般家庭の場合、約80〜130万円という高額な初期投資が必要になります。
太陽光発電はパネルだけでなく、設置するための工事費用や架台、インバーターなどの費用もかかるかるため、「思ったより高い…」となりがちです。
ただし、回収期間は数年に及ぶものの電気代は抑えられますし、さらに売電もできるので期間はかかっても10年後などにはお得になるという点はメリットです。
デメリット2.場所によっては設置できない
太陽光発電は、設備自体の安全性を確保できない場合などに設置できないことがあります。なので以下のような点で確認が必要です。
- 屋根形状的にパネルが設置できない
- 屋根が北向きで光が当たりにくい
- 屋根の老朽化が進んで重さに耐えられない
- 潮風の影響を受けてパネルが長持ちしない
上記のように、条件の良し悪しや安全が確保できなさそうな場合には、太陽光発電を設置できないことがあるため注意しましょう。
日陰が多い場所は設置がおすすめできない
太陽光発電システムは、太陽光を使って電気を生み出すものなので、とくに日陰が多い場所では設置をおすすめできません。
日陰が多いと発電できる電気量が減ってしまい、電気代を削減できる効果が少なくなってしまうためです。なので、以下のような場合は設置を避けましょう。
- 他の建物で屋根が陰になってしまう
- そもそも日当たりが悪い
- 日当たりが良い部分の屋根スペースが狭い
このような状態だと、高い設置費用を払ったのに回収できなかった…ということになりかねません。
どの程度まで発電できるかは、設置する前にシミュレーションを行ってもらえるため、事前に確認しておきましょう。
デメリット3.天候に左右される
もちろんですが、太陽光発電は天候によって発電量は大きく左右されるので、降雨量が多い地域だと思ったよりも発電量が少ない…となりがちです。
たとえば、2023年度の東京都の日照時間は『2259時間』でしたが、地域によっても発電量が大きく変わってきます。
太陽光パネルには、天候でも安定性が変わっていきますし、年によって降雨量は変わるので予測には限界があることも覚えておきましょう。
デメリット4.定期メンテナンスが必要
太陽光パネルは、10〜20年もの長期間にわたって使用するので、定期的なメンテナンスが必要です。
太陽光パネルは屋外に設置するので、「ほこりや花粉、鳥のフンなどの汚れ」や「損傷」などが出てしまうことも当然あります。もし放置していると発電効率が低下するので、必ずメンテナンスは必要になります。
また、落雷や台風などの自然災害や、架台やインバーターなどの故障や老朽化も考慮しなければならず、維持や安全性確保のために、3〜5年に1回程度、1回あたり約3.5万円の費用がかかります。
太陽光発電の価格を抑える方法
太陽光発電を導入する際には、国や地方自治体からの補助金制度を利用できるので、通常よりも価格を抑えて設置できます。
補助金制度とは、太陽光発電システムの購入や設置にかかる費用の一部を国や地方自治体が負担してくれる仕組みです。
補助金は『国(政府)』と『地方自治体』の2つから受けられる場合があるので、必ずチェックしましょう。
国の補助金
太陽光発電のみに使える補助金は、2024年時点では行われていません。
しかし、蓄電池などを含めた『省エネルギー設備』と言われるものと組み合わせて太陽光発電を導入すると「ZEH」という補助金を受けられます。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から、国が推進している住宅政策です。
国は、ZEHになるために必要な設備や工事に対して、下記の補助金を支給しています。
ZEH | ZEH+ | |
---|---|---|
対象 | 新築を建築 or 購入 | 新築を建築 or 購入 |
補助額 | 55万円 | 100万円 |
補助金の額は、住宅の規模や性能によって異なりますが、最大100万円まで受け取れます。
このように、ZEHの補助金制度を利用することで、太陽光発電システムの価格を大幅に下げられます。
地方自治体の補助金
地方自治体からの補助金額・条件は、自治体ごとによって異なりますが、各都道府県や市区町村の単位で独自に補助を行っています。さらに国の補助金とも併用できます。
特に、関東地方の東京や千葉、埼玉だと約5〜45万円の補助を受けられるので、コストを大きく削減して設置できるでしょう。
ただし、あなたがお住まいの自治体でやっているかは確認してみないとわからないため、各自治体のホームページかもしくはこちらから確認してみてくださいね。
「太陽光発電とは?」よくある質問まとめ
ソーラーパネルとは?
ソーラーパネルとは、太陽の光を電気に変換する装置のことで「太陽光パネル」と同じ意味で、言葉だけ違います。
そんなソーラーパネルは、太陽の光の持つ光子という粒子のエネルギーを受けると電子が動きだす半導体素材でできています。
この電子の動きや流れが直流電気となり、パワコンで交流電気に変換して家庭用の電気として使用できる仕組みです。
産業用太陽光発電とは?
産業用太陽光発電とは、工場や倉庫などの屋根に太陽光パネルを設置し、発電した電気を自家消費したり、売電したりするシステムです。
家庭用よりも規模が大きく、自家消費した電気は電力会社から購入するよりも安くなります。
さらに、太陽光発電は再生可能エネルギーであり、CO2排出量を削減できますため、環境にやさしい企業としてのイメージアップにもつながります。
場合によっては、太陽光発電システムの導入費用が固定資産税や法人税などの減税措置の対象となるため、検討してみるとよいでしょう。
太陽光発電への投資っていいの?
太陽光発電への投資は、長期的に見ると良いと言える可能性があります。
太陽光パネルの寿命は約20〜25年(2009年からスタートでデータが不十分なため推定値)とされており、その間に発電した電気の収入と節約効果が導入費用を上回ることが多いです。
例えば、東京都で5kWの太陽光発電システムを設置した場合、以下のような計算になります。
内容 | 数値 | 詳細 |
---|---|---|
導入費用 | 約130.5万円 | 補助金や減税を除く |
発電量 | 1か月あたり約442kWh | 2023年で東京都の1か月の日照時間は188.25/hと仮定 |
自家消費量 | 1か月あたり約477kWh | 東京の4人世帯の平均した電気使用量 |
売電量 | 1か月あたり約35kWh | 発電量から自家消費量を差し引いたもの |
自家消費効果 | 1か月あたり約16,000円 | 東京電力のスマートライフSであれば、日中の電気代は35.76円と仮定 |
売電収入 | 1か月あたり約560円 | 2024年の売電価格は16円と仮定 |
回収期間 | 約6.5年 | 導入費用を自家消費効果と売電収入で割ったもの |
このように、太陽光発電システムは、導入後数年で元が取れるだけでなく、その後も安定した収益を得られます。
ただし、太陽光発電システムを設置するには、建築基準法上の制限や屋根の耐荷重などの条件があり、そもそも太陽光発電を導入できない場合もあります。
そのため、太陽光発電システムを設置する前には、必ず専門家に相談することをおすすめします。
記事のまとめ:太陽光発電とは環境にやさしい再生エネルギー
この記事では、太陽光発電のメリットやデメリット、補助金制度について紹介しました。太陽光発電は、環境にやさしく、持続可能なエネルギー源として注目されています。
しかし、設置費用の高さや場所による規制、天候による影響などのデメリットもあるため、十分に検討する必要があります。
ただ、国や地方自治体からの補助金制度を利用することで、初期投資を抑えられますため、太陽光発電の導入を考えている方は、この記事を参考にして、自分に合ったシステムを導入してみてください。