「パワーコンディショナーってなに?」
「故障した場合はどうすればいいの?」
この記事では、太陽光発電の不可欠なシステムであるパワーコンディショナーの役割や価格、寿命など基本的な情報を解説。
容量や設置場所、選ぶ際の注意点などもお伝えします。
また、故障した際の対応や買い替えた場合の費用回収できるのかについてもまとめています。
太陽光発電の導入を検討中の方から、すでに設置し買い替えに悩んでいる方まで、ぜひ参考にしてください。
パワーコンディショナー(パワコン)とは
パワーコンディショナーとは、太陽光発電システムの機器の一種で、ソーラーパネルと同様に必要不可欠なシステムとなっています。
主な役割としては、太陽光パネルで発電した電力をお家で使えるものに変換してくれます。
パワーコンディショナーの仕組み
パワーコンディショナーは、太陽電池モジュールでつくった直流の電気を、家庭で使用できる交流の電気に変換するものです。
太陽光発電では、まず、太陽電池モジュールで発電した電気がパワコンへ送られます。
そして、パワコンで交流電気に変換されることで、おうちで電力が使えるようになります。
自立運転機能
自立運転機能とは、非常時の運転モードです。
自立運転に切り替えることで、自立専用の出力端子から電源を供給します。
パワーコンディショナーの自立機能を使うことで、停電時でも太陽光発電による電力を使うことができます。
パワーコンディショナーの価格相場【設置・修理・交換】
パワーコンディショナーの本体価格は、10万円未満のものから30万円を超えるものまであります。
価格は、性能・容量・設置スタイル・保証期間などによって異なります。
設置費用
太陽光発電システムを設置した場合、価格の内訳はこのようになっています。
パワーコンディショナーの設置価格の相場は、1kWあたり4.2万円です。
そのため、平均的な設置容量である3〜5kWのパワーコンディショナーの設置費用は12.6〜21万円となります。
修理費用
修理費用は、修理する部品によって値段が大きく異なります。
パワーコンディショナーの修理費用は、小さな部品であれば1万円前後、基盤などの場合5〜10万円前後かかるでしょう。
使用年数やパワコンの状況によっては、交換が推奨される場合もあります。
交換費用
パワコン本体の平均価格は10~25万円、工事費は10~15万円くらいなので、パワコンの交換費用は30~40万円ほどとなります。
メーカーの保証期間内であれば、無料で修理・交換をしてもらえます。
保証期間内にパワコンの状況を確認することで、交換費用を抑えることができます。
パワーコンディショナーの寿命
パワーコンディショナーの寿命は、10年~15年程度といわれています。
しかし、これはあくまでも目安で、製品や設置する環境によって異なります。
法定耐用年数
住宅用太陽光発電のパワーコンディショナーの法定耐用年数は、パネルと同様で17年です。
法定耐用年数とは、国が定めた固定資産を使える期間のことで、資産の価値が時間とともに減少(減価償却)していくことを表しています。
誤解されがちですが、法定耐用年数は寿命を示すものではありません。
保証期間
パワーコンディショナーの保証期間はメーカーによって異なります。
短いところだと1年、長いと15年保証を提供しているところもありますが、10年保証のメーカーが多いです。
長い保証期間によって、修理・交換費用を抑えることができるので、メーカー選びの際は保証期間も重視しましょう!
パナソニック|よくあるご質問
国税庁|風力・太陽光発電システムの耐用年数について
パワーコンディショナーの種類
パワーコンディショナーには、用途によって種類があります。それぞれの特徴を解説します。
太陽光パネル用
太陽光パネル用のパワーコンディショナーは、太陽光パネルで発電した直流の電気を交流に変換します。
太陽光発電システムで発電した電気は直流であるのに対して、おうちで使う電気は交流のため、発電した電気はそのまま使えません。
パワコンで交流に変換することで、発電した電気を使うことができます。
蓄電池用
蓄電池は直流のため、蓄電池で貯めた電力をおうちで使用するためには、パワーコンディショナーによって交流に変換する必要があります。
蓄電池用のパワーコンディショナーには、単機能型とハイブリッド型の2種類があります。
単機能型・ハイブリッド型
従来の蓄電池用パワーコンディショナーは、単機能型で、太陽光パネルと蓄電池にそれぞれパワーコンディショナーが必要でした。
しかし、電気は直流から交流に変換する際にロスが発生するため、せっかく発電した電力がムダになってしまいます。
ハイブリッド型のパワーコンディショナーを使うことによって、ロスを減らし、変換効率を高めることができます。
太陽光発電システムと蓄電池を併用する際は、ハイブリッド型がオススメです。
パワーコンディショナーの容量は何kWがいい?
パワーコンディショナーには、パネルと同様に容量があります。
パワコンとパネルの発電容量のうち、出力合計値の低いほうが、全体の発電容量の値となります。
そのため、パネルの容量に合わせてパワコンを選びましょう。
パネルの容量は最大出力時であり、季節や天候によって発電量が少なくなるため、パネルよりやや小さめの容量のパワコンを購入することで費用対効果を高めることができます。
パワーコンディショナーの設置場所は屋内?屋外?
パワーコンディショナーには、屋内用と屋外用があります。
それぞれに設置するメリット・デメリットを確認した上で、設置場所を決定しましょう。
屋内型
屋内型のパワーコンディショナーは、雨風の影響を受けないため、壊れにくいでしょう。
ただし、室内に設置する必要があるため、運転中の音が気になる方もいるようです。
屋外型
屋外型のパワーコンディショナーは、雨風の影響を受けるため、メンテナンスの回数が多くなってしまいます。
また、それらの影響を軽減するためのつくりになっていることが多いため、屋内用よりも価格が高くなります。
一方で、部屋の場所をとらないことや、音が気になりにくいことはメリットでしょう。
パワーコンディショナー選びで気をつけるべきこと
パワーコンディショナーを選ぶ上で、注意すべきことは3つあります。
- 最大定格出力
- 変換効率
- 保証期間
一つひとつ詳しく解説します。
①最大定格出力
最大定格出力とは、パワーコンディショナーが出力できる最大電力値のことです。
太陽光パネルでたくさん発電できても、パワーコンディショナーの最大定格出力を超えてしまうと、使用可能な電力に変換できず、せっかく発電したエネルギーがムダになってしまいます。
一方で、ただ最大定格出力が大きいパワコンを設置しても、初期費用が高くなってしまうだけです。
そのため、太陽光パネルの定格出力に合わせて、最適な大きさのパワーコンディショナーを選ぶことが大切です。
太陽光パネルよりやや小さめのパワーコンディショナーを設置することで、費用対効果を大きくできるでしょう。
②変換効率
変換効率とは、電力を直流から交流へ変換する効率の高さを表したものです。
変換効率が高いほど電力のロスが小さくなるため、より多くの発電量を獲得できます。
パワーコンディショナーを選ぶ際には、変換効率を特に重視しましょう。
③保証期間
太陽光発電システムの中でも、パワーコンディショナーは寿命が短いので、保証期間を重視しましょう。
保証期間は1〜15年前後までありますが、10年保証のメーカーが多いようです。
保証期間の長い会社を選ぶことで、設置後の修理・交換費用を抑えることができます。
パワーコンディショナーのおすすめメーカー
ここでは、おすすめのパワーコンディショナーを3つ紹介します。
圧倒的にオススメなのは、高い変換効率と価格の安さを誇るHUAWEIです。
HUAWEI
HUAWEIのパワーコンディショナーは、最大変換効率97.5%という圧倒的な変換効率の高さを誇ります。
また、コンパクトなサイズで置き場所を最小限に抑えられる点も人気の理由です。
さらに、性能が高いにも関わらず、10万円弱という価格の安さも魅力の1つです。
オススメの人
- 性能の高さを重視する人
- 価格を安く抑えたい人
パナソニック
パナソニックのパワーコンディショナーは、耐塩害仕様になっているため、塩害地域でも屋外に設置することができます。
また、15年保証という業界トップクラスの保証期間を設けている点も魅力の1つです。
変換効率も96.5%と非常に高いですが、価格の高さが懸念点となりそうです。
オススメの人
- 変換効率の高さを重視する人
- 保証期間の長さを重視する人
- 塩害地域に住む人
ダイヤゼブラ電機
ダイヤゼブラ電気のパワーコンディショナーは、「フルMTTP方式」という独自の技術が特徴です。
降雪時や、太陽光パネルが汚れたり影になったりしたときでも、発電量の低下を最小限に抑えられます。
ただし1年保証で、追加料金によって保証期間を10年に延長することができます。
オススメな人
- 降雪地域に住んでいる人
- 安定した太陽光の獲得に不安がある人
パワーコンディショナーが壊れた!どうすればいい?
太陽光パネルの寿命が20〜30年であるのに対して、パワコンの寿命は15年前後のため、少なくとも1回はパワコンの交換が必要になります。
故障した場合は、まず保証期間を確認しましょう。
保証期間内の場合
保証期間の場合、パワーコンディショナーが故障してしまっても無料で修理・交換することができます。
保証期間外の場合は、追加で費用がかかってしまいます。
そのため、日頃からメンテナンスをし、保証期間内に交換しておくようにしましょう。
また、故障時のために、保証期間の長い会社を選ぶことも大切です。
保証期間外の場合
保証期間が終わってしまっている場合、修理・交換には追加費用がかかります。
修理費用や交換費用の支払いが難しい場合、太陽光発電をやめることになってしまいます。
追加費用をはらって修理・交換する
修理の場合、小さな部品であれば1万円前後、基盤などの場合5〜10万円前後かかります。
交換する場合、パワコン本体の平均価格は10~25万円、工事費は10~15万円ほどで、パワコンの交換費用は30~40万円です。
追加費用はかかってしまいますが、太陽光発電を続けることで費用を回収でき、経済的メリットも得られます。
次の章で詳しいシミュレーションを見てみましょう。
太陽光発電をやめる
追加費用の支払いが難しい場合、太陽光発電をやめるという選択をせざるを得ない方もいるようです。
しかし、パワーコンディショナーの寿命である15年前後で太陽光発電をやめてしまうと、費用対効果がかなり小さくなってしまいます。
パワーコンディショナーを交換しても費用は回収できる?
「パワーコンディショナーの保証期間が切れてしまった」
「交換費用が高い…」
「交換したら損する?費用は回収できる?」
このような不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、もし保証期間が切れてしまって交換費用を支払うことになっても、大きな費用対効果が期待できます!
約5年でパワコンの交換費用を回収できる
電気代(月) | 維持費(年) | 売電収入(月) | 年間支出 | 交換費用 | 15年間支出 | |
交換する | 1万円 | 1.5万円 | 0.5万円 | 7.5万円 | 30万円 | 142.5万円 |
交換しない | 1.5万円 | 18万円 | 270万円 |
パワーコンディショナーの交換費用は、3年で回収できるでしょう。
パワコンを交換し太陽光発電をつづけた場合の年間支出は約7.5万円、交換せず太陽光発電をやめた場合の支出は約18万円のため、交換費用の約30万円を3年ほどで回収できます。
また、パワーコンディショナーの寿命は15年前後のため、費用回収後10年以上は経済的メリットが得られます。
そのため、15年間の支出は、交換した場合と交換しなかった場合で、100万円以上の差が生まれるようです。
太陽光パネルの設置から20年以内なら、パワコンを交換するべき
太陽光パネルの寿命が5年以上のこっている場合は、パワーコンディショナーの交換をオススメします。
パワコンの交換費用は、約3年で回収できるため、5年以上の使用で経済的メリットを得られるからです。
パネルの寿命は20〜30年と言われているため、太陽光発電システムの設置から20年以内の場合は交換した方が良いでしょう。
ただし、30年以上使用されている太陽光パネルも存在します。
そのため、設置から20年以上経っていても、パネルの状況によってはパワコンを交換することで経済的メリットを大きくできるでしょう。
パワーコンディショナーを買い替える余裕ない…太陽光発電をやめる時の注意点
パワーコンディショナーを買い替える経済的余裕がない場合、太陽光発電を諦めざるを得ない人もいるでしょう。
太陽光発電をやめる際、システムを放置してしまうと大きなリスクがあります。
ここでは、太陽光発電をやめる際の注意点を解説します。
システムを放置すると事故の可能性がある
故障したパワーコンディショナーを放置するのは、絶対にやめましょう。
パワコンの故障箇所から出火し、火事につながる危険性があります。
事故を避けるためには、パワコンにつながるブレーカーを全て切っておくことが必要です。
ただし、太陽光パネルは日光を受ける限り発電し続けるため、パネルを設置している間は、漏電のリスクは残ります。
システムを放置するとさまざまなリスクがありますので、使用しない場合は撤去するようにしましょう。
撤去費用がかかる
太陽光発電システムを放置すると危険なため、撤去する必要がありますが、システムの撤去には費用がかかります。
撤去費用の相場は10万円前後
撤去する際にかかる費用の相場は、10万円前後です。
10万円の出費は大きいですが、これによってさまざまなリスクを軽減できるため、必ず業者に撤去をお願いしましょう。
パワーコンディショナーの修理・交換の注意点
パワーコンディショナーを修理・交換するときは、下記の3点に注意が必要です。
- 自分での修理・交換は避ける
- 保証期間を重視する
- 蓄電池の設置を検討する
一つひとつ、詳しく見てみましょう。
自分での修理・交換は避ける
パワーコンディショナーの修理・交換を自分で行うことは避けましょう。
電気工事士の資格が必要
電気工事士の資格をもっている人しか、パワーコンディショナーの交換など、電気工事の作業はできません。
法律で定められている事項のため、資格のない人が行うと違法行為になってしまいます。
第3条:第一種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ、自家用電気工作物に係る電気工事の作業に従事してはならない。
【趣旨】本条は、電気工事の欠陥による災害の発生を防止するため、電気工事士等以外の者が電気工事の作業に従事することを禁止したもので、この法律の目的を達成するためのもっとも根本的な規定である。
火事や事故につながる危険性大
電気工事に失敗すると、火事や事故につながってしまうことがあります。
パワーコンディショナーが使えなくなるだけでなく、他の家電も使えなくなってしまうこともあるようです。
配線の接続が悪いと、工事から月日が経った後で火災に繋がる可能性もあり、大変危険です。
すべて自己責任になる
電気工事士の資格をもっていて修理・交換できるとしても、自己施工の責任は全てご自身で負担することになります。
もし失敗してしまったり、他の部分の故障につながったりしても、メーカーの保証を受けられない可能性があります。
経産省や電力会社への連絡など、通常業者が行う手続きも自身で調べて行わなければなりません。
保証期間を重視する
パワーコンディショナーの交換時も、保証期間を重視しましょう。
パワコンの寿命が15年ほどですが、太陽光パネルの寿命は20〜30年、実際には30年以上使われているものもあります。
保証期間の長いものを選ぶことで、2回目のパワコン交換にも備えることができます。
蓄電池の設置を検討する
パワーコンディショナーを交換する際は、蓄電池の設置を検討しましょう。
蓄電池を使用する際は、蓄電池用のパワコンが必要になるため、パワコンの交換時に導入することがオススメです。
ハイブリッド型のパワコンを使うことで電力のロスを減らし、変換効率を高めることができます。
太陽光発電システムと蓄電池を併用する際は、ハイブリッド型のパワーコンディショナーがオススメです。
蓄電池とは
蓄電池は、発電した電力を貯め、必要なときに使うことができます。
太陽光発電は、日光を受けられるときしか電力を供給できませんが、蓄電池を使うことで、夜間の電力供給が可能です。
また、災害時や停電時にも備えることができ、防災対策として利用されている方もいます。
記事のまとめ
パワーコンディショナーは、太陽電池モジュールでつくった直流の電気を、家庭で使用できる交流の電気に変換するものです。
パワコンの寿命は15年前後のため、1度は交換する必要がありますが、太陽光発電の利用で交換費用を回収することができます。
保証期間を重視して製品を選ぶことで、修理・交換費用を抑えられるので、保証期間の長いメーカーを選ぶと良いでしょう。
パワコンを交換する時は、蓄電池も設置することで節約効果を高め、災害にも備えることができます。
詳しいシミュレーションや費用を知りたい方は、お気軽に無料相談をご利用ください。