「新築で太陽光発電は設置するべき?」
これから住宅を建てる方の中には、太陽光発電を設置しようか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
現在、東京都をはじめ、神奈川県川崎市、横浜市、相模原市、京都府、群馬県などの多くの自治体で、2025年4月からハウスメーカーの新築住宅に対する太陽光パネルの設置義務化が決定しています。
今後、他の自治体でも同様の動きが広がっていくと考えられるため、義務の有無にかかわらず太陽光発電の導入を広く視野に入れておくのが良いでしょう。
この記事では、新築で太陽光発電を設置するメリット・デメリット、おすすめの人などを解説しています。ぜひ参考にしてください。
新築で太陽光発電を設置する5つのメリット
新築で太陽光発電を設置することで、後付けした場合に比べ、これら5つのメリットが得られます。
メリット1.低金利の住宅ローンが使える
まず最初のメリットは、低金利の住宅ローンを使うことができる点です。
新築住宅に設置された太陽光発電は、住宅の付属設備として扱われ、普通のローンより1~2%ほど低い住宅ローンを利用することができます。
さらに、支払いを住宅ローンとしてひとまとめにできるので、管理が楽な点もポイントです。
なぜ住宅ローンは他のローンに比べて金利が低いの?
住宅はかなり高額であるため、購入しやすいよう金利が優遇されています。
太陽光発電を導入する際に利用することができるソーラーローンと比較しても、金利が安く設定されています。
住宅ローンは、居住目的で住宅を購入する場合のみ利用できるローン商品です。
「住宅購入のための融資」という性質上、高額な住宅を購入しやすいよう、他のローン商品よりも金利面で優遇され、低い金利で借りることができます。
メリット2.新築限定で使える補助金がある
購入者にとって大きなメリットとして、新築住宅にのみ使える補助金があります。
条件はいくつかありますが、後付けの場合に使える補助金よりもらえる金額が多いため、検討してみることをおすすめします。
次のコンテンツでは、新築でのみで使える補助金を2種類紹介しています。
メリット3.太陽光発電の設置に合わせた家造りができる
新築の注文住宅に導入する場合、太陽光発電の設置を考慮した上で屋根を設計することができます。
そのため、屋根の形状や角度、面積なども考慮して建築プランを立てることで、発電効率を最適化することができます。
メリット4.先行配線で見栄えがきれい
新築で太陽光発電を導入すると、通常は外壁に設置している配線を隠し、住宅の見栄えをきれいに保つことができます。
こだわりのマイホームを建てるであれば、外見は気にしておきたい方も多くいらっしゃるでしょう。
住宅の建設と同時に太陽光発電システムの設置を行う必要があるため、新築だからこそできるメリットであると言えます。
メリット5.電気代が安くなる
新築から太陽光発電を導入することで、電気代をより安く抑えることができます。
2023年6月に各電気会社が値上げを発表してから、現在、値上がり前に比べ平均して20~40%ほど電気代が高騰しています。
そのため、太陽光発電を導入することで日々の電気代の節約ができることに加え、早い段階から設置することで最終的な発電量が増え、その分電気代を安く抑えることができます。
また、電気が余った場合、売電を行うことで毎月発生するローンの支払いにあてることも可能です。
新築で太陽光発電を設置する2つのデメリット
一方で、新築での太陽光発電の設置には、2つのデメリットもあります。
デメリット1.初期費用が増える
太陽光発電の設置には、平均して121万円ほどの金額がかかってきます。
決して小さな額ではないため、住宅の建設費用に加えて支払いが可能かどうか検討することが重要です。
補助金や住宅ローンなどを活用し、負担にならない形で導入を進めましょう。
デメリット2.固定資産税がかかる可能性がある
新築で太陽光発電を設置すると、固定資産税がかかる場合があります。
固定資産税の課税条件
設置する太陽後発電が、以下の3要件を満たした場合には、固定資産税がかかります。
- 10kW以上の産業用の太陽光発電である
- 売電収入が20万円以上である
- 屋根と一体型の太陽光発電である
住宅用の太陽光発電であれば、1,2の条件に当てはまることはめったにないため、3,屋根一体型の太陽光発電について当てはまるかどうかを考えると良いでしょう。
設置した太陽光発電システムが固定資産税の対象となった場合、毎年9,000円程度の税金がかかってきます。
しかし、屋根一体型の太陽光発電はデザイン性や耐震性の部分で優れている点もあるため、ご自身のニーズに沿って判断することをおすすめします。
新築でのみ使える補助金
実は、新築であることが条件となっている補助金があるんです!
以下、国の運営する2つの補助金を紹介していきます。
①ZEH支援事業
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)とは、住宅で使う一次エネルギー(電気に変換される前の石炭や天然ガスなどのエネルギー資源)の年間消費量が、おおむねゼロの住宅のことです。
ZEHでは、高断熱な壁、窓といった設備に加えて、省エネ性能の高い「空調」「給湯」の導入、また、太陽光発電設備の設置によるエネルギーの創出などにより、年間の一次エネルギーの収支ゼロを実現しています。
ZEH | ZEH+ | |
住宅条件 | 省エネ基準比20%以上、かつ年間の一次エネルギーの収支がゼロ | ZEHに加え、さらなる措置の導入 |
補助額 | 55万円/戸 | 100万円/戸 |
政府による第六次エネルギー基本計画では、2030年までに新築住宅の平均6割でZEHの実現が目指されています。
しかし、数百万円と費用が高いこと、建物の完成時期に細かなスケジュールがあることなどが要因で、日本全体でみると普及率はそこまで高くなく、さらなる普及を促進するための補助金が用意されています。
また、ZEH支援事業で補助金を申請する際には、新築住宅で特に注意が必要な留意点がいくつかあります。
注意1.補助金交付決定前に着手・購入してはいけない
新築注文住宅の場合は事前着手、新築建売住宅の場合は事前購入をしてしまうと、補助金の交付は受けられないので注意が必要です。
注意2.補助金申請後に間取りや設備の変更ができない
ZEHの補助金申請後に間取りや設備を変更すると、補助金が受け取れません。窓の位置を変更するなど、わずかな変更であっても断熱性能が変化してしまいます。そのため申請前の設計を慎重に進め、後で変更が必要ないように注意してください。
(参考:経済産業省 資源エネルギー庁【公式】)
②子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業は、子育て世帯・若者夫婦世帯による省エネに向けた新築住宅の建設や改修などに対して支援することにより、2050年のカーボンニュートラルの実現を図る事業です。
子育てエコホーム支援事業 各種対象
対象となる住宅 |
※エコホーム支援事業者と不動産売買契約、または工事請負契約を締結する必要があります。 |
|
対象となる方 | 子育て世帯、または、若者夫婦世帯 | |
申請期間 | ・申請の予約:受付中~予算上限まで(2024年11月30日最終) ・申請期間:受付中~予算上限まで(2024年12月31日最終) |
|
他の補助金との併用について | ・重複して国の他の補助制度から補助を受けることはできない ・なお、地方公共団体の補助制度については、併用可能 |
※新築以外で使える国の補助金は、子育てエコホーム支援事業の「リフォーム」のエコ住宅設備の設置(太陽熱利用システム)で一戸あたり30,000円が支給されます
対象住宅の条件
①長期優良住宅 ②ZEH水準住宅 のいずれかである必要がある
住宅条件 | 長期優良住宅 | ZEH水準住宅 |
補助額 | 1住戸につき100万円 | 1住戸につき80万円 |
また、購入者は自ら申請する必要はなく、エコホーム支援事業者に登録されている販売事業者へ問い合わせをすることで補助金をもらうことができます。
(参考:子育てエコホーム支援事業【公式】 )
全住宅対象の補助金
自治体(都道府県・市区町村)からの補助金
自治体が運営している補助金については、新築住宅に限定されているものではないため、後付けやリフォームの際にも同じ補助金を利用することができます。
しかし、地域によっては国の補助金との併用を受け付けていない場合があるため、各自治体の対応について確認しておきましょう。
お住まいの自治体の補助金について知りたい方は、無料相談をご利用ください!
後付けした場合との比較
太陽光発電を新築で設置した場合と、建設完了後に後付けした場合での比較のポイントを解説していきます。
①スケジュール感
新築で太陽光発電を設置する場合、建物の建設と同時並行で工事が進んでいくため、短いスケジュールの中で様々な作業を進める必要があります。
具体的には、以下のような行程が必要になってきます。
- 複数の販売店から見積りを取る
- 業者を選定する
- 補助金の申請をおこなう
一方、太陽光発電を後付けにした場合、スケジュールに制限がないため、複数業者への見積りや補助金の申請など、時間に余裕をもって進めることができます。
短いスケジュールの中では、建設日程との調整が合わない、申請に不備があると補助金がもらえないなど、計画が順調に進まない可能性があるため、申請や手続きに不安のある方は好きなタイミングで導入を進められる後付けがおすすめです。
②太陽光パネルの選択肢
太陽光発電を後付けにした場合、複数の業者の見積りを比較検討することで、多くの選択肢から住宅に合った性能・値段の製品を選ぶことができます。
とくに太陽光発電システムの販売は、同じ製品でも依頼する販売店によって価格や補償内容などが異なるため、複数の販売店を比較して信頼できる業者を見つけることをおすすめします。
見積りを取ってみたい方は、お気軽に無料シミュレーションをご利用ください。
こんな人におすすめ
太陽光発電システムを新築で導入するかを迷っている方に向け、おすすめの人を紹介します。
①低金利のローンを利用したい人
新築での太陽光発電の設置は、低金利のローンを利用したい人におすすめです。
また、金利が低くなるだけでなく、借入先を一つにまとめることでお金の管理が楽になる点もポイントです。
②家の見栄えを良くしたい人
新築での太陽光発電の設置は、家の見栄えを良くしたい人におすすめです。
先行配線・先行配管を行うことで、通常外壁に設置することになる配線が見えなくなり、住宅のデザイン性を保つことができます。
③電気代を安くしたい人
新築での太陽光発電の設置は、電気代を安く抑えたい人におすすめです。
2023年以降、燃料価格の高騰や再エネ賦課金の影響により、電気代が大きく値上がりする傾向が続いています。
そのため、在宅時間が長かったり、ペットを飼っていて一日中電気を使ったりして電気代が多くかかっている方は、新築から太陽光発電を導入することで効率的な電気代の削減が可能となるでしょう。
④太陽光発電の設置が義務付けられた地域にお住いの人
太陽光パネルの設置義務化 対象地域
地域 | 東京都、神奈川県川崎市、横浜市、相模原市、京都府、群馬県 |
期間 | 2025年4月より |
対象 | 大手ハウスメーカーの新築住宅 ※面積が小さい、北向きなどの条件により対象外となる場合があります。 |
新築での太陽光発電の設置は、太陽光発電の設置が義務付けられた地域にお住いの人におすすめです。
東京都をはじめとした6つの自治体では、2025年から新築の注文住宅に対し、太陽光発電システムの設置が義務付けられることが決定しています。
NOWALL株式会社では、無料相談を受け付けています。ぜひ、お気軽にお申し込みください。
新築の注文住宅における太陽光発電の設置方法3選
新築の注文住宅に太陽光発電システムを設置する際には、おおまかに次の3つの方法があります。
①建設会社のオプションを使って依頼する
引用:イクラ不動産【公式】
大手のハウスメーカーや工務店では、注文住宅のオプションとして太陽光発電システムを設置できる場合があります。
ハウスメーカーと提携している特定の太陽光パネルメーカーの商品から選択することになるため、パネルの選択肢は少なくなってしまいますが、ハウスメーカーに一貫して設置をお願いできるため、手間がかからない点が最大のポイントです。
メリット
- 手間がかからない
デメリット
- 価格が圧倒的に高い
- 太陽光発電のメーカーが自由に選べない
大手ハウスメーカーが指定している太陽光発電メーカーは、下記の通りです。
ハウスメーカー | 指定の太陽光発電メーカー |
---|---|
一条工務店 | 自社グループ製造 |
ヘーベルハウス | 京セラ |
パナソニックホームズ | パナソニック |
サンヨーホームズ | 日立 |
ユニバーサルホーム | Qセルズ |
スウェーデンハウス | 京セラ |
アキュラホーム | Qセルズ |
大成建設ハウジング | シャープ |
住友不動産 | ソーラーフロンティア |
積水ハウス | シャープ、カネカ |
大和ハウス | パナソニック、シャープ |
住友林業 | シャープ、ソーラーフロンティア |
トヨタホーム | ソーラーフロンティア、シャープ |
クレバリーホーム | 京セラ、Qセルズ |
セキスイハイム | シャープ、京セラ、ソーラーフロンティア |
タマホーム | 京セラ、カネカ、トリナソーラー |
ミサワホーム | 京セラ、東芝、ソーラーフロンティア |
アイフルホーム | 京セラ、LIXIL、Qセルズ |
東急ホームズ | 京セラ、三菱、シャープ |
三井ホーム | シャープ、東芝、カネカ、パナソニック |
②建設会社とは別に販売業者へ依頼する
二つ目に、建設会社には依頼をせず、自分自身で太陽光発電システムの販売店へ設置を依頼するパターンがあります。
ハウスメーカーにお任せするよりは手間がかかりますが、複数の業者から見積りを撮ることで、多くの選択肢を比較した上で判断することができます。
メリット
- 費用が安く済む
- 複数の業者から見積りを取り、多くの選択肢を比較できる
デメリット
- 手間がかかる
このように自身で販売店へ見積りを依頼する場合、特に手続きの流れが複雑になります。
そこで、次の章では「建設会社とは別に販売業者へ依頼する場合」のモデルケースについて解説しています。ぜひ参考にしてください。
③太陽光発電のついた建売住宅を購入する
その他、はじめから太陽光発電のついた建売住宅を購入するという選択肢もあります。
この場合、既にシステムが設置されている状態にある住宅を購入することになるため、太陽光発電の設置に関する手続きは必要ありません。
建売の購入を考えている方は、それぞれのメリット・デメリットを考慮の上、新築で設置するか後付けにするかを判断しましょう。
メリット
- 手間がかからない
デメリット
- 太陽光発電のメーカーが自由に選べない
新築で太陽光発電を導入する流れ
新築住宅に太陽光発電を設置する際、とくに流れが複雑な「建設会社と太陽光発電の設置業者を別にした場合」について紹介します。
①早い段階で太陽光発電の設置業者と契約
太陽光発電を設置すると決まったら、建設会社との契約を進める早い段階で、太陽光発電の設置業者とも契約を結びましょう。
太陽光発電の設置を考慮した住宅づくりを行う上では、設計段階から太陽光発電システムの導入を進めることが重要です。
ただし、建設会社によっては太陽光発電の設置業者とのやりとりを受け付けていない場合があるため、事前に調整ができるかどうかを確認しておきましょう。
②補助金の申請について確認
受け取ることのできる補助金について、申請時期や条件などを確認しましょう。
太陽光発電の設置にはさまざまな補助金がありますが、補助金の種類によって、住宅工事の着手前、一定以上の工事完了後など、申請のタイミングが異なります。
また、条件についても、対象となる住宅環境や対象となる年齢、世帯条件など、補助金の種類によってさまざまです。
太陽光発電の施工業者が請け負ってくれる場合もありますが、万が一申請できなくなる事態を防ぐため、ご自身での把握も怠らないように注意しましょう。
③スケジュール調整
住宅建築にはさまざまな業者が関わるため、太陽光発電設置がどの段階で入るのかの調整を行わなければなりません。
多くの場合は、建設会社と太陽光発電の設置業者の間で調整をしてくれるでしょう。
④完成・入居
建築が完了し、入居ができる状態になったら、いよいよ最後です。
また、作った電気を自家消費するだけでなく売電まで行いたい場合は、電力会社との電力需給契約を結ぶのに8~9か月、経済産業省へ事業計画認定申請を出すのに2~3か月ほどの処理期間がかかります。
よくある質問
最後に、新築住宅への太陽光発電の導入に関する疑問をまとめました。
- FITの単価が下がっているって本当?
- オール電化にした方が良い?
- 後付けでも大丈夫?
Q1.FITの単価が下がっているって本当?
FITの単価が下がっていることに関して、初期費用の回収に影響があるかを心配した質問でしょう。
固定価格買取(FIT)制度は、国が決めた価格での買取を電力会社に義務付ける制度で、再生可能エネルギーによる発電を普及するために2012年7月に開始されました。
固定価格買取制度による太陽光発電の買取価格は、10kW未満の場合に42円/kWh(税込)からスタートし、以下のグラフのように推移しています。
(引用:太陽光発電の売電価格の推移)
たしかに、固定価格買取制度(FIT)の単価は年々下がり続けていますが、その分太陽光発電設備の導入コストも大幅に下がっているため、引き続きFIT期間中の費用回収は可能な状況です。
Q2.オール電化との相性は?
基本的に太陽光発電とオール電化は相性がいいのでオススメです。
オール電化住宅では、全てのエネルギー利用を電気でまかなうため、電気代の値上げの影響を受けやすいです。
そのため、太陽光発電をうまく導入することで、その分の電気を自給自足でまかない、安定して電気代を節約することができます。
たしかに太陽光発電を設置するための初期費用は高いですが、設置から10~15年を目安に回収することができるため、長期的にみるとお得と言えるでしょう。
Q3.後付けでも大丈夫?
基本的に、発電効率の面では太陽光発電を新築時に設置するのがお得となるでしょう。
理由としては、発電効率を考慮した家造りができる点、最終的な発電量が増加する点などが挙げられます。
しかし、以下の点は変わりません。
- 補助金・・・後付けで設置した場合でも補助金の申請は可能です。
- 費用・・・太陽光発電の費用は、新築時でも後付けでも基本的にほとんど変わりません。
また、「固定資産税がかからない」、「余裕をもって業者を選択できる」など、後付けの場合にもメリットもあるため、自身の状況に照らして判断しましょう。
記事のまとめ
太陽光発電システムは、新築で設置することで、多くのメリットを受けることができます!
しかし、同時に注意点も多くあるため、大きなデメリットとならないよう事前に専門家に相談することをオススメします。
ぜひお気軽にNOWALLスマートハウスメディアにお問い合わせください。