「なぜ電気代がこんなに高いの?」
「うちの電気使用量はそんなに多い?」
今月で電気代の補助金が終了するため、自宅の電気使用量について気になっている方も多いのではないでしょうか。
実は、普段のちょっとした行動や日々の生活を見直し、電気使用量を減らすことで、年間で6,000円以上もの節約につなげることができます。
そこでこの記事では、一般的なご家庭の平均的な電気使用量や料金、そして節約方法について詳しく解説しています。
ぜひ最後まで読んでみてください。
電気使用量に関する基礎知識
まずは、意外と知らない電気使用量に関する基礎知識について確認しましょう。
電気使用量の単位「kWh」とは
「kWh」は電力量の単位です。電力量の算出方法は、以下のとおりです。
【電力量(kWh)=電力(kW) × 時間(h)】
例えば、1kWのエアコンを1時間使用した場合、電力使用量は1kWhになります。
自宅の電気使用量を確認するには
自宅の電気使用量は、電力会社から送付される検針表に記載があります。
最近では、Web上で確認できることも多いため、ご自身の電力会社のログインページを見てみましょう。
また、電力会社によっては「一日ごと・時間帯ごと」にグラフで確認できる場合もあります。うまく活用して、節電効果をアップさせましょう。
1ヶ月あたり・電力使用量の平均
まずはじめに、1ヶ月あたりの電力使用量の平均についてご紹介します。
電力使用量 | 電気代 |
341kWh | 11,221円 |
平均的な1ヶ月あたりの電力使用量は341kWh、電気代は11,221円です。
しかし、平均といっても世帯人数や季節、地域などによって大きく差が生まれます。
ここからは、電力使用量の平均についてより詳しく見ていきましょう。
世帯別・電気使用量の平均
毎月の電気使用量は、世帯によって大きく変動します。
電力使用量 | 電気代 | |
1人世帯 | 261kWh | 8,598円 |
2人世帯 | 376kWh | 12,590円 |
3人世帯 | 409kWh | 13,675円 |
4人世帯以上 | 488kWh | 16,102円 |
電力使用量 | 電気代 | |
1人世帯 | 176kWh | 5,649円 |
2人世帯 | 282kWh | 9,122円 |
3人世帯 | 347kWh | 11,357円 |
4人世帯以上 | 392kWh | 12,671円 |
一戸建てでは、集合住宅に比べ毎月の電気使用量・電気代ともに多くなっています。
理由として、部屋数の増加やペットを飼うことによりエアコンの使用が増加するため、電気使用量が増加する傾向にあります。
季節別・電気使用量の平均
また、電気を使用する季節によっても使用量は大きく変わってきます。
春・秋(5月) | 夏(8月) | 冬(1月) | |||||
kWh | 円 | kWh | 円 | kWh | 円 | ||
1人世帯 | 186 | 5,857 | 287 | 8,917 | 309 | 11,739 | |
2人世帯 | 253 | 7,861 | 402 | 11,638 | 474 | 18,270 | |
3人世帯 | 275 | 8,546 | 449 | 13,085 | 504 | 19,394 | |
4人世帯以上 | 324 | 10,072 | 532 | 15,194 | 608 | 23,041 |
どの世帯人数においても、夏や冬において電気使用量が最も多い傾向にあります。
以下では、とくに冬に電気代が高くなる理由について説明しています。興味のある方は、ぜひご覧ください。
冬に電気代が高くなる理由
冬に電気代が高くなる理由として、主に次の2つが挙げられます。
- 外気温と室内の設定温度との差が大きい
- 暖房器具の使用の増加
外気温と室内の設定温度との差が大きい
冬の季節は、夏に比べ、外気温とエアコンの設定温度に差が開きやすくなります。
平均的なエアコンの温度設定と日本の平均気温は以下の通りです。
エアコン設定温度(A) | 平均気温(B) | 温度差(A)-(B) | |
夏 | 26℃ | 30℃ | -4℃ |
冬 | 24℃ | 15℃ | ⁺9℃ |
このように、冬の方が温度調節のためにエネルギーを多く必要とするため、その分電気代が高くなります。
暖房器具の使用の増加
冷房を使用する場合に比べ、暖房によって空気を温める場合には、より多くのエネルギーが必要となります。
冷房モードでは室内の熱気を外に排出するだけで済むのですが、暖房モードではさらに電気を使って熱を生み出す必要があるため、結果として電気使用量が増加します。
地域別・電気料金の差
最後に、地域ごとの電気料金について紹介します。
地域ごとの1ヶ月あたりの平均電気料金は、以下のとおりです。
地域 | 平均電気料金(ひと月あたり)※2023年度 |
---|---|
北海道地方 | 11,254円 |
東北地方 | 12,397円 |
関東地方 | 9,881円 |
北陸地方 | 13,096円 |
東海地方 | 10,517円 |
近畿地方 | 9,268円 |
中国地方 | 11,699円 |
四国地方 | 11,225円 |
九州地方 | 8,649円 |
沖縄地方 | 9,277円 |
最も電気代が高い地域は「東北」、また、最も安い地域は「九州」という結果になりました。
地域によって電気料金に差が生まれる理由
では、なぜ地域によって電気料金に差が生まれるのでしょうか。その理由の一つに、地域電力ごとの電気単価の違いが挙げられます。
ここでは、地域電力によって電気単価が異なる2つの理由について見ていきましょう。
- 電源構成の違い
- 送電コストの違い
電源構成の違い
電気の発電にかかるコストは電源ごとに異なり、その内訳は各電力会社によって様々です。
電力会社ごとの電源構成の違いは以下のとおりです。
もっとも単価の高い東北では「石炭火力」が、もっとも単価の安い九州では「原子力」の割合が高くなっています。
また、電源による発電コストの違いは次のとおりです。
送電コストの違い
電気単価は、送電コストの違いによっても変動します。
送電コストとは、発電所から変電所までをつなぐ送電線や鉄塔の使用にかかる費用のことです。
発電所が変電所から遠い場所にある場合、必要な送電線は長くなり、必要となる鉄塔の数も多くなるため、必然的にかかる費用も大きくなります。
オール電化の場合・電気料金の平均
最近では、安全性・経済性の観点から、必要なエネルギーをすべて電気でまかなうオール電化住宅が増えてきています。
オール電化住宅の、平均的な電気使用量・電気料金は以下の通りです。
電気使用量 | 電気料金 | |
---|---|---|
1人暮らし | 427kWh |
10,777円 |
2人暮らし | 519kWh |
13,406円 |
3人家族 | 569kWh |
14,835円 |
4人家族 | 628kWh |
16,533円 |
1人暮らしと2人暮らしでは大きな差があるものの、2~4人暮らしではそれほど差がないことが分かります。
・関西電力(年間住宅光熱費より算出)
効果的な節電をする3つのポイント
では、実際に電気料金を抑えるにはどうすればよいのでしょうか。
ここからは、電気代を節約するための3つのポイントを紹介していきます。
- 電気の使用量を減らす
- 基盤を見直す
- 発電でまかなう
①電気の使用量を減らす
まずは、電気の使用そのものを減らす「節電」を行いましょう。
資源エネルギー庁の試算によれば、エアコン、冷蔵庫、照明器具の節電を行うだけで、年間約5,932円の節約につながると言います。
以下では、電力消費の大きい4つの家電の節電方法について解説していきます。
- エアコン:使い方を工夫する
- 冷蔵庫:使い方を工夫する
- 家の照明:LEDに変える
- 使わない家電:コンセントを抜く
エアコン:使い方を工夫する
エアコンは、電気料金の3割強を占めると言われている家電です。使い方を工夫し、節電効果を高めましょう。
エアコンで電気代を節約する方法としては、以下の方法があります。
方法 | 効果 |
「自動運転」に設定 | エアコンは、急に部屋の温度を変えるときに多くの電気を使います。自動運転にすると、はじめは強風、その後は微風という具合に、最も効率よく風量の調整を行ってくれます。 |
設定温度を下げる | 外気温とエアコンの温度を近づけるほど、電気代は安くなります。夏場の冷房時は、設定温度をたった1℃上げるだけで約10%もの節電になります。 |
こまめな電源のオンオフを避ける | スイッチの入切を繰り返すと、その分多くの電気を使います。短い時間の外出であればつけっぱなしにしましょう。 |
断熱カーテン | 断熱カーテンを使用すると、太陽の熱や暖房の熱を保つことができます。また、隙間のないよう天井から床いっぱいまで長さを確保すると、保温効果が高まります。 |
フィルターを清掃する | エアコン内部のフィルターにゴミやほこりが詰まっていると、吸い込める空気の量が少なくなり、より多くの電気を消費します。フィルター掃除を行うことで年間25%ほど電気代を節約できます。 |
冷蔵庫:使い方を工夫する
冷蔵庫は、1年365日、24時間動き続けており、電気代の2割弱と多くを占めている家電です。
冷蔵庫で電気代を節約する方法としては、以下の方法があります。
方法 | 効果 | ||
扉の開閉回数を減らす | ドアの開閉回数が多いと冷気が逃げ、再び庫内の温度を上げるために多くの電力を消費します。また、庫内を整理整頓し、食品を見つけやすい状態にしておくのも効果的です。 | ||
熱い食品は常温まで冷ます | 熱をもった食品をそのまま冷蔵庫に入れると温度が上昇し、庫内を冷やすための余分な冷却運転が必要になります。熱いものは十分に冷ましてから冷蔵庫に入れましょう。 | ||
過剰な品数を減らす | 冷蔵室に食品を詰め込みすぎると冷気の流れが滞り、電力をムダに消費する原因になります。一方、冷凍室は凍っている食材がお互いを冷やし合うため、隙間なく詰めた方が省エネになります。 |
家の照明:LEDに交換する
照明は、日々の電気代の1割弱を占める家電です。
LED電球と電球型蛍光灯を比較すると、以下のとおりになります。
消費電力 | 使用期間(10時間/日) | 価格 | |
LED電球 | 7W | 約11年 | 約1,000円 |
電球型蛍光灯 | 10W | 約3年7か月 | 約1,000円 |
家の照明をLED照明に変えることによるメリットは、以下のとおりです。
- 消費電力が小さく、電力消費が少ない
- 寿命が長く、10年以上交換が必要ない
一方で、デメリットとして熱に弱い、重量が重い、初期費用がかかるなどがありますが、長期的にみるとお得でしょう。
使わない家電:コンセントを抜く
実は、待機電力は一般家庭の電気使用量の約5.9%にもなります。
以下は、待機電力が大きく、使わない可能性のある家電の一例です、
- テレビ
- 冷暖房エアコン
- BD・HDD・DVDレコーダー
季節的に使わない家電や長期間の旅行中などは、コンセントからプラグを抜いておきましょう。
②基盤を見直す
つぎの電気の節約方法では、基盤となる「電気系統の見直し」を行いましょう。
ここからは、電気系統を見直すための3つの方法について解説していきます。
- 省エネ家電に買い替える
- アンペア数を変更する
- 電気料金プランを見直す
省エネ家電に買い替える
毎日使う家電は、消費電力の少ない省エネ家電を取り入れることで、長期的な電気代の削減につながります。
資源エネルギー庁では、省エネ性能の高い家具をまとめた「省エネ性能カタログ」を毎日更新しています。
ちょうど家電を買い替えるタイミングという方は、ぜひ一度目を通してみてください。
アンペア数を変更する
電気料金の基本料金は、アンペア数に応じて変動します。そのため、アンペア数を変更することで、毎月数百円の節約になります。
以下は、東京電力を例にしたアンペア数に応じた基本料金です。
ご契約アンペア(A) | 10 | 15 | 20 | 30 | 40 | 50 | 60 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
基本料金(円/月、税込) | 311.75 | 467.63 | 623.50 | 935.25 | 1,247.00 | 1,558.75 | 1,870.50 |
【アンペア数の計算方法】
ご家庭で必要となるアンペア数は、家電ごとに使用するアンペア数を、一度に使いたい分だけ足し合わせることで計算できます。
アンペア数を減らしすぎてしまうと、一度に多くの家電を使用することでブレーカーが作動し、一時的に電気が使えなくなってしまうので注意しましょう。
以下は、家電ごとに必要となるアンペア数の一例です。
- エアコン:6A
- テレビ:2.1A
- 冷蔵庫:2.5A
- ドライヤー:12A
- IHクッキングヒーター:20〜30A
上記の例では、「ドライヤー」と「IHクッキングヒーター」を同時に使うと全体で30Aを超えてしまうため、40Aで契約した方が安全でしょう。
また、アンペア数は一度変更すると原則1年間は変更できないため注意してください。
電気料金プランを見直す
2016年の電力自由化にともない、新たな電力会社による多彩な電気料金プランが登場しています。
ここでは、代表的なプランを3つ紹介します。
基本料金が0円で電力量料金の単価が一律の、シンプルな電気料金プランです。
おすすめの家庭:電気をたくさん使う家庭
昼や夜など時間帯によって電力量料金が安く設定されているプランです。
おすすめの家庭:電気をたくさん使う時間帯がある家庭(夜以外は家にいない、テレワークで日中によく電気を使うなど)
夜間の電力量料金が割安に設定されているプランです。オール電化住宅では、夜間に蓄電池で充電したりエコキュートを稼働させたりするため、夜の料金が安く設定されています。
おすすめの家庭:オール電化住宅にお住まいの家庭
また、東京電力の場合は、一定使用量以上で料金単価がお得になる「プレミアムプラン」、夜間の電力使用量が多い家庭向けの「夜トク8」「夜トク12」などのプランがスタートしています。
大手電力でプランを切り替えるだけであれば、手続きも簡単に済ませることができますよ。
③発電でまかなう
さいごに、自宅で発電をし、必要な電気をまかなうことで電気代を節約する方法を紹介します。
太陽光発電を取り入れよう
太陽光発電を活用することで、毎月の電気代を大幅に削減できます。
初期費用は130万円ほどかかりますが、太陽光発電の導入費用はおおよそ10~15年で回収できる可能性が高く、月々の電気代も抑えられます。
また、国や自治体の補助金をはじめ多くの支援事業も存在しており、取り入れやすくするための体制がさまざまに整えられています。
蓄電池でさらに工夫を
太陽光発電と合わせて、蓄電池の導入もおすすめです。
蓄電池を活用すれば、停電時に備えて電気を蓄えたり、夜間電力を使って電気をお得に使ったりすることができます。
夜間電力とは、夜間帯に電気代が安くなるプランで使用できる電力のことです。
蓄電池を利用することで、電気代の安い夜間の時間帯に電気を貯めておき、日中に使用することができます。
電気代はどう決まる?電気料金の内訳
さて、そもそも電気料金はどのように決定されているのでしょうか。ここからは、その内訳について解説していきます。
ご家庭で使用する電気料金は、4つの要素で構成されています。
構成 | 内容 |
---|---|
基本料金 | 毎月固定で支払う費用 |
電力使用料 | 電力使用量に基づいた費用 |
燃料費調整額 | 電力を生成するために必要な 『燃料の価格変動』を反映するための費用 |
再エネ賦課金 | 電力会社が再生可能エネルギーの発電者から 買い取った電力の費用 |
表のとおり、電気料金は『4つの項目が合計された金額』が請求されています。
基本料金
基本料金は、電気料金の構成のうち、毎月の使用料にかかわらず支払わなければならない分の料金です。
基本料金には2種類あり、それぞれ以下のような内容になっています。
種類 | 説明 |
アンペア制 | アンペア数ごとに基本料金が異なり、契約アンペア数が大きいほど料金が高くなる。 |
最低料金制 | 1契約ごとに最低料金が定められる。 |
電力量料金
電力量料金は、基本料金に設定された電力使用量を超えた際に、実際に使用した電力量に合わせてかかる料金です。
先述のとおり、選ぶことのできるプランはさまざまで、市場連動型プランや時間帯別プラン、オール電化向けプランなど、生活スタイルに合わせた料金プランから選ぶことができます。
燃料費調整額
燃料費調整額は、火力発電での発電に使用する、原油・LNG・石炭といった燃料を輸入する際にかかる購入額の変動に応じて電気料金の調整を行うために設定されています。
最近では、円安の影響でこれらの燃料にかかる費用が大きくなっており、電気料金においても値上げという形であらわれています。
再エネ賦課金
再エネ賦課金は、電力会社が再生可能エネルギーで作られた電気を買い取るための費用として、需要家が電気料金の一部として負担する料金です。
経済産業省によると、2024年度の再エネ賦課金の単価は「3.49円 / kWh」となっています。
再エネ賦課金は、国民の電気料金に上乗せされているため、再生可能エネルギーの使用に関係なく電気を使用する全ての消費者が負担しています。
記事のまとめ:節電などの対策で電気代を抑えよう
電気代の値上がりが続く現在、ご家庭での平均電気使用量を確認し、節電をおこなうことで、年間で6,000円以上の節約につなげることができます。
また、大幅に電気代を抑えるためには、再エネ設備の導入がおすすめです。
NOWALLでは、ご家庭にちょうどよい太陽光発電システムをご提案しています。まずはお気軽にお問い合わせください。