蓄電池とは?普及が増えている3つの理由とメリット、注意点

蓄電池とは

「蓄電池ってそもそもどんなものなの?」
「どんな悩みが解決できるの?」

近年、蓄電池の需要は高まっており、国や自治体はいくつかの補助金制度まで設けています。

そんな蓄電池に関してこの記事では、「蓄電池とは?」をはじめとし、普及率が増加している理由補助金制度の概要設置するメリット注意点を解説します。

目次

蓄電池とは?

蓄電池

蓄電池とは、電気を蓄え、貯めた電気を家電製品に供給できるバッテリーのことです。基本的には、太陽光パネルと一緒に使用されます。

電気を使わない深夜や外出時に、蓄電池に電気を貯めておき、必要な時に効率よく使うことができます。

また、停電時や災害時には非常用の電源としても使えるので便利です。停電時にも蓄電池に貯まった電気で家電や照明などを使えるのは安心でしょう。

蓄電池の基本的な役割を理解いただけたところで、次にその需要が高まっている理由を見ていきましょう。

蓄電池の普及率が増えている3つの理由

蓄電池を購入する人が増えている主な理由は以下の3点です。

  1. FIT制度による買取り期間が満了した
  2. 防災対策に有効
  3. 補助金制度を利用できる

ここから、その理由を詳しく説明します。

①FIT制度による買取り期間が満了した

太陽光発電システムを設置している人は、卒FIT対策として蓄電池を購入することがあります。

FIT制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社に固定価格で一定期間買い取ってもらえるもので、太陽光発電の場合は10年間の買取保証期間があります。

しかし、この買取保証期間が満了した方は卒FITと呼ばれる状態になり、余剰電力を高額で買い取ってもらえなくなってしまいます。

たとえば、FIT制度の期間中の売電価格は、2024年度で1kWhあたり16円ですが、期間が終了すると、東京電力なら「8.50円」という半額近くまで下がり、関西電力なら「8.00円」まで下がってしまうのです。

このように、卒FIT後は売電価格が下がってしまうため、発電した電気は自家消費の方がお得です。そのため、蓄電池で電気を充電し、できる限り家の中で電気を消費する方向にシフトする家庭が増えています。

②防災対策に有効

蓄電池を購入する人が増えているもう一つの理由は、防災対策です。

太陽光発電システムと併用することで、停電が発生した際、夜間も電気を使用できるようになります。

つまり、太陽光発電で日中使い切らなかった電気を貯めておける蓄電池を用意し、災害時にも安心して電気を使えるようにしようというわけです。

地震や台風などの自然災害によく見舞われる日本では、防災対策として蓄電池を設置することを考える人が増えています。

③補助金制度を利用できる

国や自治体による補助金制度も、蓄電池の利用者が増えている一つの理由です。蓄電池を設置するには、多額のお金が必要となります。主に次の4つの制度が設けられています。

  • 「子育てエコホーム支援事業」
  • 「DER補助金」
  • 「DR補助金」
  • 「ZEH補助金」

これらの補助金制度について、簡単に説明します。

子育てエコホーム支援事業

子育て世帯、若者夫婦を対象に、省エネ性能を有する新築住宅や省エネ改修の支援を行うもの。従来の「こどもエコ住まい支援事業」の2024年度版。

DER補助金

電力の安定供給や需給を調整するために蓄電池等の分散型エネルギーリソースの活用を支援するもの。

DR補助金

電力を安定供給を図るために、電力需給ひっ迫時にも利用できる蓄電池導入を支援するもの。

ZEH補助金

新規住宅の建築者・購入者を対象として、環境負荷を低減するZEH住宅*の建設を支援するもの。

(*ZEH住宅とは:定められた省エネルギー性能の確保を目指す住宅のこと)

下記でそれぞれの補助金の要項を記載しております。

DER補助金の2024年度の情報は公開されていないため、2023年度のものを参考に記載しています。

子育てエコホーム DER補助金 DR補助金 ZEH補助金
上限額 64,000円/戸 60万円以内 60万円以内 55万円~
期限 2024年3月中下旬~予算上限
(※遅くとも2024/12/31まで)
2023年度は終了 2024年3月中旬~予算上限
(※遅くとも2024/12/6まで)
2024年4月中旬~予算上限
併用 ・国の補助金とは併用不可 ・地方自治体はOK ・国の補助金とは併用不可 ・地方自治体はOK ・国の補助金とは併用不可 ・地方自治体はOK

国や自治体はこのような補助金制度を提供しています。

対象となる蓄電池や申請期限などに条件があるので、事前に確認しておくことが大切です。

蓄電池を設置する3つのメリット

上記の他に、蓄電池を導入するメリットは大きく分けて3つあります。

  • 電気代が安くなる
  • 停電時に使える
  • 電気自動車と連携できる

この3点について、簡単に解説します。

メリット①電気代が安くなる

蓄電池の最大のメリットは電気代が安くなる点です。

前述したように、電気代が安い深夜に蓄電した電気を、日中に使用することで最も効果的に電気代を節約することができます。

また、太陽光発電と併用することで、昼間に発電した電気の余剰分を蓄電池に貯めて、発電ができない夜に蓄電した電気を使うことができ、電力を買う費用を抑えることにつながります。

メリット②停電時に使える

蓄電池は防災対策としても有効です。自然災害で電気が止まっても、蓄電池を活用して電気を貯めておけば、突然の停電にも対応することができます。

さらに、太陽光発電と併用することで、太陽光での発電と、蓄電池の充電を繰り返すことができるため、より万全な防災対策をすることができます。

このように、防災対策の一手段として蓄電池の設置を検討することも良いのではないでしょうか。

メリット③電気自動車と連携できる

蓄電池の中には、電気自動車と連携できるトライブリッド蓄電池というものがあります。

この蓄電池は、太陽光で発電された電気を家の中だけでなく電気自動車の電力として利用することを可能にします。

電気自動車を所有している方は、このトライブリッド蓄電池も合わせて活用することがおすすめです。

家庭用蓄電池の3つの注意点

多くのメリットがある家庭用蓄電池ですが、以下のような注意点があります。

  • 初期費用が高い
  • 寿命がある
  • 設置スペースが必要

それぞれ確認していきましょう。

注意点①初期費用が高い

蓄電池の設置には、かなり高額な初期費用がかかります。三菱総合研究所の調査によると、蓄電池の1kWhあたりの価格は工事費なども込みで『12.5〜16.5万円』が相場です

以下の表にそれぞれの世帯人数で想定される、本体価格と工事費込みの価格相場を示しています。もちろんメーカーごとに価格は異なります。

世帯人数 おすすめの容量 価格相場
1人暮らし 5kWh 約74.5万
2人暮らし 7kWh 約104.3万
3人暮らし 9kWh 約134.1万
4人暮らし 11kWh 約137.5万

蓄電池の初期費用はかなり高額です。少しでも費用を抑えるためにも、上記で紹介した補助金を活用することをおすすめします。

注意点②寿命がある

一般的に、家庭用蓄電池の寿命は15年から30年と言われています。これは、充放電を何度も繰り返すことで、性能が徐々に低下していくためです。

できるだけ長く蓄電池を使うためには、以下の4つの注意点を意識することが大切です。

  • 直射日光を避ける
  • 湿気を避ける
  • 充電量や放電量を適切に管理する
  • 定期的にメンテナンスを行う

また、各メーカーは一定の保証期間を設けています。購入する際には、保証年数も合わせて確認すること大切です。

注意点③設置スペースが必要

蓄電池を設置するには、一定の設置スペースが必要になります。

蓄電池 設置場所

蓄電池を設置する際には、サイズを確認し、十分な設置スペースが確保されているか確認しておきましょう

*ここで紹介した、初期費用、寿命、サイズはメーカーごとに異なります。購入を検討されている方は、各メーカーの特徴を参考にしながら、自分に合った蓄電池を選択することが大切です。

補足:蓄電池の種類4つを解説

補足として、蓄電池の種類を4つの項目に分けて紹介します。

  • 電池の種類
  • ハイブリッド型と単機能型
  • 容量と出力
  • 全負荷型と特定負荷型

それぞれ確認していきましょう。

(1)電池の4つの種類

家庭用蓄電池の種類は主に、①鉛蓄電池、②ニッケル水素電池、③リチウムイオン電池、④NAS電池の4つに分けられます。これら4つの特徴について詳しく見ていきましょう。

①鉛蓄電池

最も古い蓄電池として知られており、自動車のバッテリーや非常用電源、ゴルフカートなど幅広く使用されています。

安価でコストパフォーマンスが高い一方で、重量が重く、寒冷地では硫酸の凍結により破損する危険性もあります。

②ニッケル水素電池

すばやく充放電できることに加え、大きな出力を長時間持続できるという特徴があります。

ただし、原料にレアメタルを使用しているため、高価であることが欠点として挙げられます。

ハイブリッド自動車にも使用されていますが、近年では、リチウムイオン電池への移行が進んでいます。

③リチウムイオン電池

小型であることから、携帯電話やPCなど身近な製品に利用されています。

急速充電性能が高いことに加え、環境負荷も少ないことから、近年の需要は急激に拡大しています。家庭用蓄電池に最も多く活用されています。

しかし、過充電や過放電に弱いという欠点もあります。

④NAS電池

日本のメーカーが開発した世界初のメガワット級の電力貯蔵システムです。

大容量の蓄電が可能であるにもかかわらず、長寿命で、充放電の効率も高く、再生可能エネルギーの発電出力を安定化させる用途も備えています。

参考

日本ガイシ NAS電池 https://www.ngk.co.jp/product/nas-about.html

(2)ハイブリッド型と単機能型

蓄電池の出力は家庭で使える電気ではないため、パワーコンディショナーという装置が必要です。

パワーコンディショナーは、発電したままでは使えない直流電力を家庭で使える交流電力に変換する役割を果たします。ハイブリッド型単機能型の2種類があります。

ハイブリッド型蓄電池は、太陽光発電と蓄電池の機能を一体化したパワーコンディショナーを持つ蓄電池です。太陽光発電と蓄電池のどちらにも対応しているため、1台の設置だけで済む点が特徴です。

単機能型蓄電池に加えて、停電時に自立運転できる機能や、系統から安価な時間帯の電力を買っておく機能などを備えています。

単機能型蓄電池は、太陽光発電システムから余剰な電力を蓄え、必要なときに使用するだけの蓄電池です。

単機能型は蓄電池の使用に特化しているので、異なるメーカーの製品を選べたり、将来的に蓄電容量を増やしたりするなど柔軟な選択肢があります。しかし、太陽光発電のパワーコンディショナーとは別途で設置が必要です。

(3)容量と出力

家庭用蓄電池には、本体ごとに容量と出力が決められています。

容量は蓄電池に貯められる電気の量で、出力は一度に使える電気の量です。

単純に容量と出力が大きいほど、多くの電気を貯めて、多くの電化製品や電子機器を動かせます。家庭用蓄電池ではさまざまな容量と出力性能を持たせたものがあり、それぞれで異なる特徴を持っています。

そのため、自分の家庭の電気使用量や目的に合わせて、最適な容量と出力を選ぶことができます。

(4)全負荷型と特定負荷型

蓄電池には、全負荷型と特定負荷型という2つの負荷タイプがあります。

全負荷型蓄電池

全負荷型蓄電池とは、停電時に家庭内のすべての家電製品やコンセントに電気を供給できる蓄電池のことです。通常は家庭全体の電気が60Aもしくは10kVaまで使えます。

この蓄電池は容量が大きいため、長時間の停電にも対応できます。また、太陽光発電システムと連携できる製品が多く、自家発電した余剰電力を蓄えられます。

特定負荷型蓄電池

特定負荷型蓄電池とは、あらかじめ設定した家電製品やコンセントにだけ電気を供給する蓄電池のことです。通常、15〜20Aから必要最低限の回路を指定することが多いです。

この蓄電池は容量が小さいため、コンパクトな製品もあります。また、多くのことをこなせる全負荷型よりも価格が安くなる傾向があります。

蓄電池の設置を検討している方は、2つの負荷タイプの特徴をしっかりと確認し、自分に合った蓄電池を選びましょう。

記事のまとめ

このように、蓄電池を導入し適切に活用することで、電気代の節約や災害時の有効な備えにつながります。

近年では、太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、余剰電力を夜間などに自家消費して電気代を節約しようという人が増えています。

ただし、蓄電池には大きなメリットもある一方で、初期費用が高く、寿命がある、場所を取るというデメリットもあります。蓄電池を導入する際には、補助金制度やメーカーの特徴などを参考にし、自分に合った蓄電池を選択することが大切です。

NOWALLは、蓄電池の性能やメーカーに精通しており、ご自宅にあわせて適切なタイプをご提案しております。不安なことや気になることがあったり、どのような蓄電池がいいか迷ったりした際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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