「蓄電池にはどんなデメリットがあるの…?」
「後悔したって声も聞くから心配…」
蓄電池は太陽光発電と組み合わせることで、電気代の削減や災害・停電時にも電気を供給できるというメリットがあります。
しかし、蓄電池にはどうしても見逃せないデメリットがあることにも目を向けなければなりません。
そこでこの記事では、販売店が濁しがちな蓄電池のメリット・デメリットや本当に導入すべきなのか解説します。
結論からお伝えすると、蓄電池にはデメリットがあるものの、国や地方自治体から補助金制度が実施されており、今なら設置するとメリットの方が大きい可能性が高いです。
検討されている方はぜひ参考にしてください。
家庭用蓄電池のメリット・デメリットまとめ
蓄電池には、大きなメリットがあるものの、初期費用が高い・寿命が短い・貯められる電気容量に制限がある・売電による経済効果が下がる、といった見逃せないデメリットがあります。
ただしデメリットは、補助金を受けることで高額な初期費用を抑えたり、寿命や容量も製品選びによって対策することができます。
また、売電価格が下がったとしても、自宅での電気消費を増やすと電気代の節約効果を高められるため、デメリットを踏まえた上で対策すれば蓄電池はおすすめだといえるでしょう。
家庭用蓄電池のデメリット4つ
まずは絶対に知っておきたい蓄電池のデメリットから確認していきましょう。
デメリット1.初期費用が高額
蓄電池の一番のデメリットは、高額な初期費用がかかるところでしょう。
もちろん価格は容量やメーカーによって異なりますが、蓄電池本体と設置工事費、電気工事費を含めると約70〜120万円以上かかります。
容量 | 価格相場 |
5.0kWh | 約74.5万円 |
6.4kWh | 約95万円 |
7.0kWh | 約104万円 |
7.5kWh | 約111.5万円 |
8.0kWh | 約120万円 |
参考:三菱総合研究所
蓄電池は技術の発達により、年々価格は低下しつつあるものの、家庭に設置するものの中では高い部類であることは間違いありません。
三菱総合研究所の調査によると、蓄電池の1kWhあたりの価格は工事費なども込みで『12.5〜16.5万円』が相場です。
そのため、蓄電池の導入を検討している方は、価格の安い販売店から申し込んだり国や自治体の補助金を活用することをおすすめします。
対策:国・自治体の補助金を利用しよう
蓄電池は、国や自治体から補助金が受けられる場合があります。設置費用を抑えられるため必ず活用しましょう。
国からの補助金のうち、「子育てエコホーム支援事業」ではすでに今年の情報が公開されています。
国からの補助金については、こちらの記事で詳しく解説しています。
また、都道府県・地方自治体でも補助金を受け付けていることがあります。下記は東京都の例です。
自治体 | 東京都 |
補助金名 |
クール・ネット東京:災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業 |
対象住宅 |
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補助対象 |
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補助率 |
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補助上限額 |
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申請期間 |
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場合によっては、国と地方自治体の補助金を組み合わせて利用できるため、各情報をしっかりと確認しておきましょう。
デメリット2.寿命がある
蓄電池には寿命があります。メーカーや製品によって異なりますが、一般的には15年程度でしょう。
ただ、蓄電池の寿命は「充電する」→「利用(放電)する」というサイクル数によって決まります。たとえば、毎日フル充電・放電を何度も繰り返していると、寿命は短くなる傾向にあります。
そのため、6,000サイクルの蓄電池を1日1サイクル使用した場合、寿命は単純計算で約10年。一方、12,000サイクルでは約20年持つ計算になります。
また、蓄電池を屋外に設置している場合は、日光や雨風の影響で劣化が早まることもあるので注意してください。
対策:サイクル数が多く、寿命や保証期間が長いメーカーを選ぶ
蓄電池を購入する際は、サイクル数が多くて、寿命や保証期間も長いメーカーを選ぶことが大切です。
寿命は、種類や使用頻度、使用環境によっても大きく変わります。とくに温度や湿度が高い場所では、寿命は短くなるでしょう。
また蓄電池をひんぱんに充放電すると、サイクルが消費され寿命が短くなることもあるので、注意が必要です。
メーカー | 家庭用蓄電池の種類 | 寿命サイクル数 | おおよその寿命年数 |
ニチコン | 単機能型 | 6,000 | 16.4年 |
ニチコン | ハイブリッド型 | 11,000 | 30.1年 |
ニチコン | トライブリッド型 | 10,000 | 27.4年 |
オムロン | マルチ蓄電 | 11,000 | 30.1年 |
田淵電機 | アイビス7 | 12,000 | 32.9年 |
長州産業 | スマートPVマルチ | 11,000 | 30.1年 |
伊藤忠 | スマートシリーズ | 6,000 | 16.4年 |
パナソニック | LJB1156 | 10,000 | 27.4年 |
シャープ | JH-WB2021 | 11,000 | 30.1年 |
京セラ | ハイブリッド型 | 6,000 | 16.4年 |
できるだけ長く使いたい場合は、サイクル数が多くて寿命や保証期間も長いメーカーを選ぶようにしてください。
デメリット3.貯められる電気容量に制限がある
蓄電池は、貯められる電気容量に制限があります。
この制限は種類や大きさによって異なりますが、もし電気の使用量が多いご家庭は、容量の大きい蓄電池が必要でしょう。
ただし容量が大きくなると価格も高くなるので、ご家庭の電気使用頻度に合わせて必要な蓄電容量を見極めることが重要です。
対策:優先順位と放電モードを確認する
限られた蓄電容量の中で、何を優先してどのようなモードで運転するのかを考えて利用することが重要です。
まず蓄電池には、経済優先モード、環境優先モード、蓄電優先モード、ピークカットモード、自立運転モードなど、様々な運転モードがあります。
太陽光発電と併用している場合は、発電した電気を優先的に使用して電気料金を節約する「環境優先モード」に設定すると自動的に節約できるでしょう。
デメリット4.売電による経済効果が下がる
蓄電池を導入すると節電に期待できる一方、売電による経済効果は今後下がるでしょう。なぜなら、今後FIT制度による「売電価格」は下がっていくから。
理由は、太陽光発電が広く普及したこと・生産技術が向上したことにより、本体の価格が下がったため、売電価格を下げても十分に収益が確保できるということで、徐々に下がってきています。
対策:押上効果なしの蓄電池を選ぶ
今後も売電価格は下がることを見越して、押上効果なしの蓄電池を選ぶといいでしょう。
押上効果とは、太陽光発電と一緒に蓄電池から放電して『売電量を増やす行為』のことです。FIT制度におけるダブル発電と言われているものです。
過去、売電価格が高かったときは効果的でしたが、電気代が高くなってきている昨今は、家庭で電気を消費する方が経済効果が高まるため、押上効果なしの蓄電池の方がより効果を高められるでしょう。
家庭用蓄電池を導入した方がいい3つのメリット
蓄電池にはデメリットがあるものの、導入した方がいい理由は上記のようなメリットがあるからです。
一つずつ詳細を確認していきましょう。
メリット1.電気代が安くなる
蓄電池の最大のメリットは電気代が安くなる点です。設置することで、ご家庭の電気代は毎月1,700〜3,500円ほど値段を抑えられる人が多いでしょう。
なぜ電気代を抑えられるかというと、電気料金が安い「深夜の時間帯」に蓄電して、電気料金が高い「昼の時間帯」に使用することで電気代の高騰を抑えられるためです。
たとえば、東京のご家庭で蓄電池が夜間の電力をすべて補える場合、以下の表を見れば削減できる電気代の目安がわかります。
夜間の電力(目安) | 削減できる電気代の目安 | |
1人世帯 | 61kWh | 1,705円 |
2人世帯 | 90kWh | 2,530円 |
3人世帯 | 106kWh | 2,979円 |
4人世帯 | 119kWh | 3,344円 |
上記はあくまで目安ですが、夜間の電気使用量が多ければより節電効果は高くなり、ご契約の電気プランによってはさらに削減できるケースもあるでしょう。
メリット2.停電・災害時に電気が使える
蓄電池は災害対策として有効な手段です。停電や災害で電力供給が途絶えても、蓄電池で電気を貯めておけば電気を利用できるからです。
もちろん、蓄電池に貯まっていた電力がなくなってしまえば使えなくなるので、安心した備えをしておきたい方は、太陽光発電と蓄電池の組み合わせがおすすめです。
ただ、いずれの場合においても停電や災害時に電気を使えるのは蓄電池ならではのメリットでしょう。
メリット3.太陽光発電で作った電気を貯められる
蓄電池は、太陽光発電システムと組み合わせて利用すればより電気料金の節約や災害時の備えに役立ちます。
電気代の節約はもちろんのこと、災害時の非常電源となるのは大きなメリットでしょう。もし災害が起こって停電しても、太陽光発電が動く限りは一定の電力量を確保できます。
蓄電池のみでは充電した分だけしか使えず、使い切ってしまうと利用できないので、太陽光発電と蓄電池はセットとして購入するとメリットがより大きくなるでしょう。
メリットしかない蓄電池の補助金制度|2024年版
蓄電池の補助金には国と自治体からもらえる2種類があります。2024年度に国が実施している補助金は、下記のとおりです。
DR・DER補助金の2024年度の情報は公開されていないため、2023年度の情報を参考に記載しています。
制度名 | 子育てエコホーム支援事業(2024年度) | DR補助金 | DER補助金 |
対象条件 |
住宅のリフォーム工事をする世帯 |
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補助対象 |
1〜3のいずれかの工事が必須
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補助額 |
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申請期間 |
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ただし、自治体からも補助金制度はあり、国と自治体の併用は可能なケースがあるので必ず確認しましょう。
デメリットがない?価格も安い蓄電池メーカー3選
メリット・デメリットや補助金が受けられることを踏まえた上で、最後に価格も安い蓄電池のおすすめメーカーをご紹介します。
おすすめできるメーカーは下記の3つです。
- ニチコン
- 住友電工
- テスラ
いずれも太陽光発電と連携でき、電気代の節約効果に期待できるものだけを厳選しました。
ニチコン|「トライブリッド蓄電システム 7.4kWh」
ニチコンの蓄電池は豊富な機能に加え、4.9kWh〜10kWh以上の大容量まで幅広い製品を展開しているメーカーです。
中でもおすすめの製品は、全負荷&200V対応モデルの「ESS-T3S1」です。性能や機能性が高く、価格も他の商品に比べるとお手頃。
さらに蓄電池の容量で導入してみて、もう少し容量を多くしたい場合は後から追加するといったことも可能です。
また、保証期間も15年と長く、見守りサービスや気象警報との連携、AI自動制御まで豊富なサポートが充実しているのも見逃せません。
機種名 | ESS-T3S1 |
重量 | 61 kg |
蓄電容量 | 7.4kWh |
保証 | 15年間 |
設置場所 | 屋内・屋外 |
住友電工|「パワーデポH」
住友電工の蓄電池は、12.8kWhという大容量のハイブリッド蓄電池のため、停電時にも高出力の電気出力に期待できます。
大容量なのに機器は一体型なので配線が少なく、外観もスッキリ綺麗に見えるところも特徴的。さらに、保証とアフターサポートはかなり充実しています。
保証は業界最長級の15年。なおかつ機器保証&見守りサービスが無料でついてます。なので、充実した保証やサポートを重視したい方におすすめの蓄電池です。
機種名 | パワーデポH |
重量 | 230 kg |
蓄電容量 | 12.8kWh |
保証 | 15年間:無料 |
設置場所 | 屋外 |
テスラ|「Powerwall」
テスラのPowerwallは、世界で25万台以上の施工実績を持つ人気モデルで、スタイリッシュなデザイン性の高さが特に評価されています。
しかも、13.5kWhという大容量なのにもかかわらず、コンパクトなことから設置スペースの制限を受けにくいのもポイントです。
スタイリッシュなデザインであるため、「蓄電池によって家の外観を損ねたくない」という人に嬉しいメリットでしょう。
しかし、JET認証やJIS規格を満たしていない蓄電池なので補助金の利用ができない点には注意してください。
機種名 | Powerwall |
重量 | 114 kg |
蓄電容量 | 13.5kWh |
保証 | 10年間:無料 |
設置場所 | 屋内/屋外 |
蓄電池のデメリットに関するよくある質問
Q1.蓄電池は本当につけるべき?メリットないと言われる理由
A.蓄電池は、導入費用が高いため、すべてのご家庭にメリットがあるわけではありません。
設置を検討する際は、自宅の状況やライフスタイルを考慮し、メリットとデメリットを比較検討することが大切です。
メリットがないと言われる多くのケースでは、すでに電気代が安く、蓄電池のメリットである電気代の節約効果が低いことが挙げられます。
蓄電池は太陽光発電と組み合わせると昼間の電気使用量も抑えられるため、災害時でも一定の水準で電気を確保できる「備え」としても有効です。
デメリットを加味しながら、メリットと比較して何を実現したいかを考え、豊富な知見のある相談先から情報を集めて決めましょう。
Q2.太陽光発電と蓄電池を併用した方がいいの?
A.太陽光発電と蓄電池は必ず併用した方がいいでしょう。併用するメリットは下記の3つです。
- 電気代の削減効果を向上できる
- 災害時の非常用電源に役立つ
- 補助金を受けられる
(1)電気代の削減効果を向上できる
太陽光発電と蓄電池を併用することで、発電した電気を蓄電池に貯めて、夜間や電力不足の時に使用できます。これにより電気代の削減効果を向上させられます。
たとえば、深夜電力を安く抑えられるプランで契約し、電気代の高い日中に太陽光発電に夜電気や、蓄電池の電気を使えばより電気代を抑えられます。
またFIT制度による売電が満了し、利益を出せなくなったとしても、そして売電価格が低下したとしても太陽光発電があれば自家消費できる量が増えてお得になります。
(2)災害時の非常用電源に役立つ
太陽光発電と蓄電池を併用することで、災害時の非常用電源としても役立てられます。
災害が発生すると、電力供給が途絶することがあります。そのような場合でも、太陽光発電と蓄電池を併用することで一定期間は電気を供給できます。
(3)補助金を受けられる
太陽光発電と蓄電池を併用する場合、国や地方自治体から補助金を受け取れます。
補助金の金額は、設置する機器の種類や容量によって異なりますが、太陽光発電のみの補助金もあるため選択肢が広くなるのが利点です。
例えば、東京都の「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」では下記の補助金が受けられます。
補助項目 | 補助額・補助上限額 |
---|---|
太陽光発電の設置 |
【新築住宅】
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太陽光発電の設置 |
【既存住宅】
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陸屋根住宅への架台設置 |
【新築住宅】
【既存住宅】
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防水工事 |
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機能性PV | 上限5万円(または2万円)/kW |
パワーコンディショナ | 10万円/台(助成対象経費の50%) |
蓄電池 | 太陽光発電システムが4kW以上の場合 以下のうちいずれか小さい額
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太陽光発電システムが4kW未満か、太陽光発電システムの出力がわからない場合 以下のうちいずれか小さい額
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太陽光発電のみの補助金も対象となり、受けやすくなることは費用の削減にも大きく貢献でき、より幅広いラインナップから選べるでしょう。
Q3.蓄電池の寿命はどれくらい?
A.蓄電池の寿命は約15〜20年です。これは多くのメーカーが「リチウムイオン電池」を利用して製造しているから。
種類 | 寿命 (サイクル数) | 原料 | 特徴 |
---|---|---|---|
リチウムイオン電池 | 12,000 | リチウム、マンガン、ニッケル | 小型軽量、長寿命 |
鉛蓄電池 | 3,000 | 鉛、二酸化鉛 | 価格が安い |
NAS蓄電池 | 4,500 | ナトリウム | 大容量 |
ニッケル水素電池 | 2,000 | ニッケル、水素 | 小型軽量 |
基本的に、多くのメーカーでは寿命が長くなるリチウムイオン電池を使って製造していますが、サイクル数も見て蓄電池は選びましょう。
記事のまとめ:蓄電池はデメリットがあるものの対策できる
蓄電池は、電気料金の節約や停電時の非常用電源として利用できる便利な設備です。
しかし、初期費用が高額なため、導入を検討する際には、メリットとデメリットをよく比較検討することが大切です。
デメリット | メリット |
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家庭用蓄電池の導入を検討されている方は、国や自治体の補助金制度の活用もできます。導入する際は、補助金制度を利用して負担を少なくしましょう。
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