「エコキュートの凍結を事前に予防するには?」
「もし凍結したらどうしたらいい?」
実は、エコキュートは冬の時期が一番壊れやすいと言われています。その原因の一つに、冬になり氷点下の日が続くと、エコキュートの配管が凍結してしまうことが挙げられます。
凍結してしまうと、お湯が出なくなったり、配管が膨張して破裂してしまうこともあります。
そのような事態を避けるために、この記事では
- 事前に凍結予防をしたい人
- すでに配管が凍結してしまった人
に向けて、事前に凍結を防止する方法と、配管が凍結してしまったときの対処法を詳しく解説します。
ぜひ参考にしてください。
エコキュートの凍結防止は何℃から対策すべきか
寒冷地でなくても、大寒波などで外気温が低下した場合には凍結する可能性があります。
ですので、天気予報を確認して、以下のような条件が当てはまるときは事前に対策をしましょう。
- 最低気温がマイナス4℃を下回るとき
- 最高気温が氷点下の日が”数日”続くとき
配管が凍結するとどうなるの?
冒頭でお伝えしたように、エコキュートで凍結防止をするのは「配管」です。
配管には種類がありそれぞれ役割が異なります。そのため、どの配管が凍結したかで影響も変わってきます。
配管 | 役割 | 凍結すると |
①ふろ配管 | 貯湯タンクから浴槽へお湯を給湯 | 「ふろ自動」「追いだき」機能が使えない |
②給水配管 | 水道水を給水 | 水が出ない |
③給湯配管 | 貯湯タンクから蛇口へお湯を給湯 | お湯が出ない |
④ヒートポンプ配管 | エコキュートの本体と貯湯タンクをつなぐ | 貯湯タンクにお湯が貯まらない |
自宅で出来る!エコキュートの凍結防止法5つ
凍結条件と配管の種類がわかったところで、ここからは自宅で簡単にできる凍結防止法を5つ紹介します。
こちらを参考に、冬が本格化する前に予防していきましょう。
- 浴槽に残り湯を張っておく(フルオート機能のみ)
- 水を出し続ける
- 配管に凍結防止対策をする
- 保温材に破損がないか確認する
- 寒冷地仕様のエコキュートを選ぶ
防止法①浴槽に残り湯を張っておく(フルオート機能のみ)
まずはふろ配管の凍結防止方法です。入浴後、浴槽にお湯や水を残しておくことで、必要なときに自動で「凍結防止運転」が作動します。
凍結防止運転とは、外気温が低くなると配管に残り湯を循環させる機能です。これにより配管内の水が循環されて、凍結を防ぐことができます。
作動させるには
- 凍結防止運転がONになっていることを確認
- 湯船の循環口の中心から10cm以上の湯量を残す
という対応をしましょう。10cm未満だと正常に作動しないこともあるので注意が必要です。
残り湯が少ない場合は、水を足しましょう。風呂温度を「水」に設定してからふろ自動にするとタンクのお湯が無駄にならず、手間もかかりません。
メーカーによって凍結防止運転の操作方法は異なるため、詳しくは取扱説明書で確認してください。
タンクのお湯と残り湯は混ざらないの?

(引用:ダイキン)
凍結防止運転をすると、お風呂の残り湯は追いだき用の配管を通って循環されるので、タンクのお湯と混ざることはありません。
補足:長期外出の場合は水抜きをする
冬は基本的に凍結防止運転が作動するので、お湯は残したままで問題ありません。しかし、1ヶ月以上家を空ける場合は、給湯器の水を抜く必要があります。
参考として、パナソニックが提供している水抜き手順の動画を紹介します。機種による細かい手順は、取扱説明書を参照してください。
防止法②水を出し続ける
水を出し続けることも、凍結を防止する1つの方法です。
天気予報を確認して、下記のような気温が予想されるときは、気温が低くなる夜間から翌日の明け方にかけて対策をすれば問題ありません。
- 最低気温がマイナス4℃を下回るとき
- 真冬日(最高気温が氷点下の日)が数日続くとき
お湯と水両方の水道を使うことで、給水配管と給湯配管のどちらも対策することができます。ご家庭の蛇口のタイプによって水の出し方が異なりますので確認しましょう。

(引用:日立グローバルライフソリューションズ)
気をつける点として、湯温は「水」を設定(できない場合は設定温度を低く)しましょう。お湯を出し続けていると貯湯タンクのお湯が減ってしまうので注意が必要です。
どれくらいの量を出せばいい?
凍結対策だとしても、水を出し続けることに抵抗のある方もいるのではないでしょうか。できればあまり水を無駄にしたくないはず。
結論からお伝えすると、少量(直径3~5mmくらい)を途切れないよう流し続ければ、効果は十分です。ポタポタと途切れるくらいだと凍結してしまうかもしれません。
水量としては1時間あたり18Lになるので、翌日の洗濯や植木の水やりなどに再利用したいですね。
水を出しっぱなしにしたときの水道代はどのくらい?
この方法では、水道代がかかる点がデメリットに思われるかもしれません。しかし実際は、凍結による破損で高額な修理費用を支払うよりも、圧倒的に安く凍結を防止できます。
仮に、毎分300ccの水を8時間出し続けても、水道代は28.8円程度です。
凍結の可能性が高い10日間だけ対策をすると仮定した場合、利用割合の高い4ヶ所の水道を8時間出しっぱなしにしても、水道代は1,152円になります。
- 毎分300cc
- 水道代:1L=0.2円(全国平均)
- 蛇口:4ヶ所(洗面所、台所、お風呂、洗濯機)
- 日数:10日(凍結の条件下にある日)
時間 | 蛇口1ヶ所 | 蛇口4ヶ所 | 10日間(蛇口4ヶ所) |
1h | 3.6円 | 14.4円 | 144円 |
6h | 21.6円 | 86.4円 | 864円 |
8h | 28.8円 | 115.2円 | 1,152円 |
防止法③配管に凍結防止対策をする
ここまで、配管の中の水を循環させることで凍結させない方法をご紹介しましたが、配管の外側の凍結予防も大切です。次は配管まわりの凍結対策として以下をご紹介します。
- 断熱カバー
- 凍結防止ヒーター
- 脚部カバー
断熱カバー
既存の保温材の上から断熱カバーをつけることも、凍結対策として効果的です。
配管に発泡スチロールや気泡緩衝材(プチプチ)などのカバーを巻いてみましょう。ホームセンターでも数千円で手に入ります。
ただし、経年劣化でボロボロになったり、風で破れたりすると効果がなくなるため、定期的に点検・交換することが必要です。
凍結防止ヒーター

(引用:パナソニック・ダイキン)
凍結防止ヒーターとは、ロープ状の電気式ヒーターです。
一般的な凍結防止ヒーターには、サーモスタットと呼ばれる機能がついています。これは、温度を自動で検知することで必要な時以外は稼働しないという仕組みです。
あらかじめ配管に巻き付けておくことで、一定の温度以下になったときに作動し、配管が凍結するのを防ぎます。ただし電気式のため、使用する場合はヒーターの数だけコンセントが必要になります。
設置の際は、適切な場所に電源をつける必要があるため、業者に依頼した方が確実です。その場合、ヒーターの本体価格(4千〜2万円)と別に、工事が数千〜3万円かかります。
凍結防止ヒーターの電気代は?
1本あたりの電気代は月700円前後ですが、一般的な一戸建て住宅で使用する場合、平均使用は10本前後です。そうなると、凍結防止ヒーターの電気代だけでも月7,000円前後になります。
ヒーターの耐久年数は10年と、保温性に加え持続性もあるという点でとても有効な防止策です。
しかし、初期費用や維持費もかかってくるので、お住まいの地域に本当に必要か、他の対策とも比較したうえで検討しましょう。
脚部カバー

(引用:コロナ)
貯湯タンクユニットの下部には、給湯するための配管があります。通常、配管と脚部は剥き出しの状態のため、冷たい風が当たると熱が奪われてしまいます。
脚部カバーを取り付けることで、直接外気に触れることなく、冷たい風や害虫から保護することができます。
防止法④保温材に破損がないか確認する
凍結したケースのなかには、エコキュート本体や、貯湯タンクの配管に取り付けられている保温材の破損が原因の場合もあります。
冬が近づいたら保温材の状態を確認し、破損している場合には早めにメーカーの販売店に修理してもらいましょう。
防止法⑤寒冷地仕様のエコキュートを選ぶ

(引用:ダイキン)
雪が降り積もるような寒冷地帯の場合は、導入の段階から寒冷地仕様のエコキュートを選ぶことも検討しましょう。
一般用エコキュートと異なり、凍結防止ヒーターが内臓されていたり、断熱材が二重に巻かれていたりと、保温性がとても高く、寒冷地でも快適に使用できます。
後付けで保温アイテムをつける時間や費用を削減できるため、エコキュートの導入や買い替えを検討中の方には一番おすすめの対策法です。
記事の後半で寒冷地方おすすめのエコキュートメーカーを紹介しています。寒冷地向けのエコキュートを検討されている方はこちらも併せてご覧ください。
メーカーによる凍結予防動画
一般的な凍結防止策を紹介しましたが、各メーカーからも凍結予防に関する動画が公開されています。
以下のリンクから確認できますので、上記の方法と併せて対策をしていきましょう。
- パナソニック:冬場の凍結予防方法について
- 三菱:「凍結によりお湯や水が出ない」
- ダイキン:【こんなときは(凍結防止処置など)】
以上、5つの凍結予防法をご紹介しました。
つぎに、万が一凍結をしてしまった場合の対処法をご紹介します。いざというときに慌てないためにも、しっかりと確認しておきましょう。
エコキュートが凍結してしまった!自宅でできる2つの対処法
凍結した場合は、リモコンにエラーコードが表示されます。メーカーによって表示されるコードが異なりますので、まずはご家庭で使っているメーカーの凍結時のエラーコードを確認しましょう。
下記のリンクから、各メーカーが公開している対処法も確認できます。
メーカー別の凍結エラーコード
メーカー | 凍結時のエラーコード | 対処法 |
パナソニック | F12・F19・H94・U22 | 凍結予防方法と対処法について |
三菱電機 | P05・P21・P37・C03・C19・C20・C21・C23・C26・C27・C30・F06・103・120 | 冬期に多いお問い合わせ |
ダイキン | HJ・FA・EC・C15・C16・E3・C45・C52・C55・C80・C81・U51・UF | 凍結したときの対応と予防方法 |
日立 | Er15・Er24・HE22 | 公開なし |
コロナ | E:14・E:28・U:2・U:3 | 給湯機器の凍結について |
東芝 | HU:12・HU:E9・U:27 | 公開なし |
上記のエラーコードが表示された場合は凍結している可能性があります。以下の対処法を試してみましょう。
- 自然に解けるのを待つ
- 配管にタオルを巻いてぬるま湯をかける
基本的には、各メーカーとも自然解凍を推奨しています。詳しく解説していきます。
対処法①自然に解けるのを待つ
基本的には、自然解凍が一番安全な方法です。急ぎでない場合は、お湯側の給湯栓を少し開いて、自然に解けるのを待ちましょう。
昼間になると気温が上昇し、凍結も自然に解消されていきます。

(引用:ダイキン)
お湯が使えるようになるまでは、およそ2時間から6時間かかります。しかし、気温が上がらない場合は、それ以上の時間がかかることもあるので注意しましょう。
対処法②配管にタオルを巻いてぬるま湯をかける

(引用:ダイキン)
すぐにお湯を使いたい場合は、凍結した配管にタオルを巻き、ぬるま湯をかけるのが有効です。約10分から30分でお湯が使えるようになります。
ただし、配管が長かったり、気温が低すぎたりする場合は、時間がかかることもあります。
ぬるま湯をかけ終わったら、必ずタオルを外し配管についた水を拭き取りましょう。水が残っていると再び凍結する恐れがあるので注意が必要です。
注意!熱湯やドライヤーはNG
配管が凍結した場合、すぐに解凍したくても熱湯やドライヤーで温めるのは絶対にやめましょう。温度差によって、配管にひび割れや破裂を起こす可能性があります。
エコキュートの凍結が解消されない場合は業者に相談
これらの方法をとっても凍結が解消されない場合は、業者に相談しましょう。無理に誤った方法をとると、大きな故障を引き起こし、高額な費用がかかってしまうことがあります。
また凍結だけが原因ではなく、そもそも正常に作動していなかったり、内部で故障が起きている可能性もあります。
下記に各メーカーの問い合わせ先をまとめましたので、参考にしてください。
パナソニック | 商品についてのご相談 | 0120-878-695 |
三菱電機 | 修理のご相談 | 0120-139-365 |
ダイキン | お問合せ | 0120-88-1081 |
日立 | 修理依頼 | 0120-3121-68 |
コロナ | お問合せ | 0120-919-302 |
東芝 | お客様サポート | 0120-1048-19 |
寒冷地仕様のエコキュートおすすめメーカー5つ
最後に、寒冷地仕様のエコキュートを提供するおすすめメーカーを5つ紹介します。
寒冷地帯にお住みの方や、凍結防止に優れている機種を選びたいという方は、NOWALL|スマートハウスメディアにぜひ無料見積もり依頼をしてみてください。
各メーカーはさまざまな寒冷地向けエコキュートを提供しています。業者と相談し、環境に合ったエコキュートを選ぶことが大切です。
NOWALLスマートハウスメディアでは、エコキュートについてお悩みの方に無料見積もり依頼を行っています。導入や交換を検討している方はぜひお気軽にお問い合わせください。
記事のまとめ
この記事では、エコキュートの凍結予防策と対処法について解説しました。冬が来る前にこれらの対策をしっかりとして、凍結を未然に防ぐことが大切です。
また、万が一凍結したときに落ち着いて対処するためにも、事前に対処法を把握しておきましょう。